2. 言葉による「フィードバック」で気づきを促す

 「チームワークのある組織」の目的は,仲良くすることではなく,目標を達成することです。そのため,ベクトルがずれている人がいれば,正すように導いていかなければなりません。その際に用いるのが言葉による「フィードバック」です。これは,リーダーには欠かすことができないコミュニケーションスキルと言えます。

◆ フィードバックで相手の「気づき」を促す

 コーチングの世界では「人は気づけば,問題の80%は自分で解決できる能力を持っている」と言われます。言い換えれば,好ましくない言動の80%は本人が気づいていないだけということ。ここにフィードバックの原点があります。
 トゲトゲしい物言い,場違いの服装や髪型,上から目線の態度,人の話にすぐ割って入る,人が真剣に考えているときにゴチャゴチャ横やりを入れる…。これらの好ましくない言動は,本人が気づいていないだけのことが多いので,フィードバックをすることで,「気づき」を促していきましょう。

◆ フィードバックには2種類ある

 フィードバックには,「強化のフィードバック」と「修正・改善のフィードバック」の2種類があります。
 「強化のフィードバック」とは,うまくできた場合にきちんとほめたり,日ごろ感じている長所,ねぎらいや感謝の気持ちを言葉で伝えたりすることです。
 照れがこれを妨げる場合がありますが,基本的にはポジティブな内容を伝えることなので,それほど難しくはないでしょう。
 それに対して,どんな人にもある「ここさえ直してくれれば…」という欠点や改善点を言葉で直接本人に伝えるのが「修正・改善のフィードバック」です。
 これは,「改善要求」であり,「苦言を呈すること」でもあるので,これを行うのはなかなか難しいでしょう。
 ある意味,嫌われ役を買って出ることになりますが,改善点をスバリ指摘することは,リーダーにとって避けては通れない道です。

◆ 「修正・改善のフィードバック」を効果的に行うには

 「修正・改善のフィードバック」を効果的に行うポイントを3つ紹介します。

@ 直接本人に言葉で伝える
 「修正・改善のフィードバック」は言う本人も,言われる相手も,よい気分になることはありません。もし誰かに代わりに言ってもらえるなら,そうしてもらいたいという気持ちは,とてもよくわかります。しかし,直接本人に伝えることが大原則です。
 また,咳払いをしてにらみつけたり,舌打ちをしたりするなど,言葉以外の態度で露骨に不快感を表す人もいますが,これでは相手に何を修正・改善してもらいたいのかが正しく伝わりません。きちんと,言葉で伝えるようにしましょう。

A ニュートラルに(冷静に)伝える
 「修正・改善のフィードバック」は,直してほしい点を指摘することです。基本的にはネガティブな内容になるので,伝え方がとても大事です。その際にポイントになるのは「ニュートラル(neutral)に伝える」ことです。
 「neutral」を直訳すると,「いずれにも偏らないさま。中立的。中間的」となりますが,ここでは「冷静に」という意味で使っています。
 ちなみにこの場合の反対語は,エモーショナル(emotional)で,「感情的,感情をあらわにした,興奮した」になります。
 言われる側の立場になって考えてみるとわかると思いますが,エモーショナルに相手を責めたり,怒りを吐き出したりするような伝え方をすると,それがたとえ正論であったとしても,素直に受け入れることが難しくなってしまいます。

B 改善されるまで何度でも伝える
 好ましくない言動の多くは,それをしている当人からすれば長年にわたって繰り返されてきたクセとも言えることです。他人から指摘されて,ようやく気づいたとしても,一度や二度の注意を受けたくらいで,そう簡単に直るものではありません。
 また,せっかく改善できたとしても,ちょっと油断していると何かの拍子でまた元に戻ってしまうこともよくあります。
 言うほう,言われるほうの双方がよい気分にはなれませんが,相手のため,そしてチームワークのため,心を鬼にして,改善が定着するまでフィードバックを続けることが大切です。

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