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会話の目的や目標を意識する
学生時代の部活動では,サッカーやテニスなどのスポーツ系でも,吹奏楽や演劇などの文化系でも,目標の大会に向けて練習に励みます。うまくなりたいから,楽しいから練習するだけでなく,大会という明確なゴールを設定することで,厳しい練習に取り組むモチベーションが高まります。
日々の会話,特にビジネス上の会話でも,ゴールを確認することは非常に大きな意味を持ちます。たとえば,上司から「この資料をまとめておいてください」「新規顧客のA社に提案する企画書を作成してください」と指示されたら,「はい,わかりました」と返事をするでしょう。しかし,もしこの時点で不明なことがあれば,放置せずにゴールを明確にする質問をしてください。その質問とは,「この業務の目的は何か」についてです。
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「資料をまとめておくのですね。承知しました。この資料は次回の会議で参加者に配布するための資料でしょうか?」
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このように,資料の利用目的や対象者について質問します。目的を理解すれば,その目的に適った資料にまとめようと考えるので,資料のクオリティも上がるはずです。指示されたことを淡々と進めるのではなく,常に目的や目標を意識しながら相手の話を聴く習慣を身につけましょう。これを「ゴール明確化の法則」といいますが,指示を受けるときは,以下の5W3Hについて,わかる範囲で確認してください。
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Why(なぜ):何の目的でこの業務を行うのか?/なぜ行う必要があるか? |
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What(何を):何の業務を行うのか?/何を目標としているのか? |
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When(いつまでに):いつまでに業務を完了させればよいか? |
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Who(誰が,誰に):この業務は誰に向けて行うのか?/誰が行うのか? |
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Where(どこで):この業務はどこで行うか?/どこへ発送すればよいか? |
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How(どのように):どのような方法で行うか?/どのように仕上げるか? |
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How much(いくらで):予算(費用)はいくらか? |
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How many(いくつ):どれくらいの数量を用意すればよいか? |
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相手の言葉の肯定から会話を始める
会話中に相手の言葉に反論したり,否定したくなったりすることがあります。しかし,そのような同意できないときでも,いったん相手の言葉を受け止めることから始めましょう。
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「そうですね」 「たしかに」 「一理あります」 「おっしゃることはわかります」
「参考になります」 「そういう見方もあります」 「それは考えつきませんでした」
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このような言葉で反応すると,気持ちに寄り添い,尊重しているというニュアンスが伝わるので,相手も意見をいいやすくなり,こちらの質問にも好意的な反応を示してくれます。相手の発言に共感を示し,クッションのように柔らかく受け返すことから,こうした言葉を挟む話し方を「クッション話法」といいます。
ところが,クッション話法に続く接続詞しだいで,話の印象はガラリと変わってしまうことがあります。
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「先日,○○さんに教えてもらった店で食事をして,たしかにおいしかったです。ありがとうございました。さすが,○○さんはグルメですね。しかし,―― 」
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この後に否定的な内容が用意されているのは容易に想像できるので,相手は身構えてしまいます。このように肯定的な話の後,「しかし」「でも」などの接続詞から反論に転ずる話し方を「イエスバット(yes but)話法」といいます。
一方,次のように肯定の接続詞から話をつないでいくのが「イエスアンド(yes and)話法」で,相手に同意しながら自分の意見を述べることができます。
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「先日,○○さんに教えてもらった店で食事をして,たしかにおいしかったです。ありがとうございました。さすが,○○さんはグルメですね。だから,ほかの店より少し高くても納得でした」
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また,相手の意見を肯定した後,「だから」「実は」「そして」「それなら」などの接続詞から言葉をつなぐと,自分の意見が相手の意見の続きであるかのように伝わるので,反発されにくくなるというメリットもあります。
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あなた:「業務用タブレットの契約はA社に決めたいと思いますが,いかがですか?」
上 司:「同じ機種ならB社のほうが2割は安いじゃないか」
あなた:「おっしゃるとおりです。たしかにA社のほうが割高に感じます。実は,その差額に サポート費や拡張機器の料金,それにセキュリティソフトも含まれているので,ト ータルの費用で考えるとかなり割安になります」
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