Aさんが清涼飲料を中心とした自販機の設計・開発担当の管理職になって5年が経とうとしています。自社の清涼飲料の自販機シェアは高く,多くの飲料メーカー用に自販機の開発・製造を担当しています。Aさん自身,省エネで災害時には被災者に無料で飲料を提供できる自販機の開発に携わったので,この経験を部下たちにも伝え,環境に優しく社会にも貢献する新しい自販機開発に活かすつもりでした。
ところが,会社の上層部から新たな飲料用自販機の開発を当面ストップするように,との指示がありました。感染症の拡大で自販機による飲料販売が低迷し,自販機の販売も大きく落ち込んだためです。その結果,災害時に緊急通報ができる自販機の開発を中止し,他部門の開発支援を行うことになりました。
部下の中には「社会に役立つ製品だから開発を継続したい」と強く主張する者もいましたが,Aさんは「上からの指示だから仕方がない」といってその部下を説得しました。また,「清涼飲料以外でも自販機の可能性を広げる分野はあるので,会社に提案したい」といってくる部下もいました。しかし,組織の一員としては会社の方針に従うことが最重要と考え,Aさんは部下の企画を上層部に提案しませんでした。
開発支援を行っている部門とはトラブルが絶えず,部下から不満が出ても「会社の方針だから対応してほしい」と説得しました。そのため,部下から面と向かって「リーダーの考えがわからない」「リーダーは何をしたいのですか」と問われることもあります。この状態を改善するために,Aさんはどのように対応すればよいでしょうか。
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