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ラポールを形成するとはどういうことか
“ラポール”は,話し手と聴き手の信頼関係を意味する言葉です。「信頼関係」というと,多くの時間と経験を重ねて築き上げるものというイメージが強いかもしれません。しかし,話し合いの場で求められるラポールは,それほど大変なものではありません。“ラポールの形成”とは,安心して話せる雰囲気づくり,というくらいに考えてよいでしょう。
メンバーに話しかけられたとき,あなたはどのような態度で応じますか。たとえばパソコン画面を見たまま「聴いてるから話して」というのでは,とても安心して話せる雰囲気にはなりませんね。
まずは作業の手を休めて,相手に顔を向ける,できれば体ごと向き直って,聴く体勢をとりましょう。ちゃんと相手の様子を見れば,あるいは「○○の件で相談が……」などの第一声を聴けば,いまこの場で応じるか,別の機会を設けるか,あるいは場所を替えるか……なども判断しやすいはずです。
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・いったん仕事の手を休める ・相手に顔を向ける ・体ごと向き直る ・机の上を(部分的にでも)片付ける ・椅子などをすすめる ・メモを用意する ・必要なら場所を替える(会議室,応接室など) ・簡単な声かけをする(「ご苦労さま」「調子はどう?」など)
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こうした行為は「私はあなたの話を歓迎していますよ」というメッセージになります。これらに加えて,自分の表情にも注意してください。「面倒くさいな」などの思いは顔に出てしまうものです。「ウェルカム」「話しに来てくれてありがとう」という気持ちでメンバーを迎えましょう。
ラポールの形成に必要な“受容”とは
どのような相手でも「ウェルカム」という気持ちで迎え入れるには,“受容”のマインドが必要となります。皆さんは“受容”という言葉にどんなイメージをお持ちですか?
たとえば,相手の言うことを受け入れられないとき,「その条件は受容しがたい」「とても受容できる話ではない」などと言いますね。メンバーからの提言や要望であっても,受け入れがたいことはあるはずです。
そう考えると,話しに来たメンバーを無条件に受容するなんて無理だ,と思うかもしれません。しかし,ラポールを形成する際に必要な“受容”とは,いまから相手が話すことをすべて飲む(受け入れる)ことではありません。
まず相手(話し手)そのものを受け入れる,ということです。これから話される中身のジャッジはあとですればよいのであって,どんな話が出てくるのかわからないのですから,まずは目の前の相手を受容し,「ウェルカム」の姿勢で迎えることです。相手は,かけがえのない部下,メンバーなのですから。
場づくり・雰囲気づくりは聴き手の役割
あなたに近づいてきた部下が「折り入って相談があるのですが」と言ったとしましょう。周りに人がいると話しにくいだろうと察したあなたは「会議室で話そうか?」などと導くことができます。
さて,他人の耳を気にせず話せる場所に移ったものの,真正面に相対する座り方だと,まるで評価面談のような緊張感が漂うかもしれません。そんなとき,はす向かいあるいは互いが直角になる向きに座ってみてはどうでしょう。それだけで,対峙する雰囲気から解放され,ずっと話しやすくなります。圧迫感のない適度なアイコンタクトが取れますし,互いの表情やしぐさもきちんと見えます。
「コーヒーでも飲みながら話そうか」などと提案してもいいでしょう。
それでも緊張感が拭えないときは,「最近,ゆっくり話す機会がなかったね」など
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と話しかけて,和やかな雰囲気をつくるよう努めてください。
メンバーの話を聴く場面で,場の雰囲気や環境をコントロールできるのはリーダーの側です。相手が話しにくそうにしていないか,周囲を気にしていないか,過度に緊張していないか……などに注意を払って,ラポールを形成しましょう。
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