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愚痴と進捗状況の報告だけで終わらせない
ほかの企業が採用しているからという理由だけで1on1ミーティングを始めると,メンバーが愚痴を言ったり,業務の進捗状況を報告したりするだけの場になりがちです。従業員のエンゲージメントやモチベーションを向上させることが1on1ミーティングの目的ですが,本来の機能を発揮していないと感じる場合は,以下のポイントを押さえているか確認してください。
●事前準備をしているか?
ミーティングのテーマをあらかじめ共有しておかないと話が続かず,時間つぶしの雑談で終わってしまいます。メンバーが話す内容を整理し,リーダーが有効なアドバイスを与えるうえでも1on1ミーティングシート(13ページ参照)は必要になり,お互いに大筋のシナリオが見えてきます。
●話しやすい雰囲気をつくっているか?
メンバーが話しにくそうにしていたり,途中で言葉が詰まったりすることがあります。それはリーダーとの間に気持ちの距離を感じているからです。「話を聞いてやる」というような高圧的な態度をとっていないか,自分が話しすぎていないか,リー
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ダー自身が顧みなければなりません。互いに慣れていないうちは最初から本題に入らず,場を温めるアイスブレイクとして,その日のニュースや身近な話題から始めたり,「困っていることはない?」「最近,何が楽しかった?」など,メンバーに関心を寄せていることを示したりすると,対話の糸口がつかみやすくなります。
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●メンバーの安全性は確保されているか?
プライベートや他従業員の情報などを聞いても他言しないこと,話の内容は人事評価に影響しないこと,批判されてもペナルティを加えないことなど,ミーティングによってメンバーが不利な立場に陥らないようにする配慮が必要です。もし,そのような事態になれば,リーダーはパワハラ(あるいはセクハラ)の加害者責任が問われることもあります。健康問題や社内いじめといった会社に知らせるべき内容なら,本人から確認を取ったうえで人事部などの担当部署に伝達します。また,個人批判など冷静に対処する自信がないテーマであれば,メンバーにその点を素直に伝えて建設的なテーマに変更したほうがいいでしょう。こうしたテーマは専門的な研修を受けた人でも対処が難しく,ミーティングで取り上げるテーマにはなじまないかもしれません。
●無理に課題をつくろうとしていないか?
ミーティングで見えてきた課題をすべて解決しようとするのは,リーダーにもメンバーにも負担になります。働きやすい環境づくりが本来の目的なので,毎回,取り組むべき課題を見つけるという姿勢ではなく,できないこと,やらなくてもいいこと,気に留めておけばいいことなど,互いに気持ちがらくになる方向でも考えましょう。
●メンバーにとって重要度の高いテーマか?
メンバーがほかに重要な問題を抱えていても,差し障りのない業務の進捗報告や来期目標をテーマに設定していることがあります。あらかじめテーマが決まっていても,アイスブレイク中やミーティング中の一言に何か深刻な気配が感じられたら,そちらを本題として話を聞きましょう。無論,相手が話したがらないことを,しつこく聞き出そうとしてはいけません。
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●優先順位を低く考えていないか?
早々と1on1ミーティングを重荷に感じてしまう理由に,「間が持たず時間が余る」,逆に「忙しくて時間が取れない」といった声が聞かれます。一般的には月1〜2回,1回30分〜1時間が目安とされていますが,回数や時間を決めて行う必要はなく,10分で話が出つくせば,そこで終えてもかまいません。また,時間が余ると感じられるのは,メンバーが話しにくいからです。前述のようにアイスブレイクを入れたり,質問を投
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げかけたりするリーダーのホスピタリティ(歓待の精神)が求められます。また,1on1ミーティングはメンバーのモチベーションとパフォーマンスを高める機会(図表13のAに該当)ととらえれば,ミーティングの優先順位はほかの業務にも増して高くなるはずです。抱えている業務の中で,緊急でも重要でもないものを省けば,ミーティングの時間を取れるのではないでしょうか。
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