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上司が部下と信頼関係を築ければ,部下は気持ちよく仕事に取り組めるようになり,結果として,組織としての成果が出やすいものになります。
このことは,マサチューセッツ工科大学(MIT)の元教授であるダニエル・キム氏が提唱する「組織の成功循環モデル」を使って説明できます。
「結果の質」より「関係の質」が重要
「組織の成功循環モデル」とは,組織の成功をもたらす基本的な考え方で,「結果の質」を重視する「負の循環(バッドサイクル)」と「関係の質」を重視する「正の循環(グッドサイクル)」とに分類されます。
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個々の循環(サイクル)を簡単に説明します。
上記の「負の循環」で「結果の質」に焦点を当てた場合,結果が出なかったときに組織の関係性はギクシャクします。すると,個々のモチベーションは下がり,それが行動量や質の低下を招いてしまいます。結果として,成果が出にくい状態に陥ってしまうのです。
一方,「正の循環」で「関係の質」に焦点を当てた場合,関係性がよくなれば個々のモチベーションは上がり,それが行動量や質を向上させることにつながります。結果として,成果が出やすい状態をつくることができるようになる,というものです。このように,組織としての成果を求めるために,リーダーは「正の循環」を回すように心掛けなければなりません。
上司と部下の相互理解が組織を強くする
関係性がよくなれば組織としての成果を出しやすくなることは,実は,『孫子』においても語られているところです。謀攻篇にある一節を見てみましょう。
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ここでは主君と将軍との関係を述べていますが,現代に話を移せば“上司と部下”との関係として読むこともでき,国は“組織またはチーム”に置き換えられます。
上司が部下の“有害”となってはならない
『孫子』で興味深いのは,このあとに続く補足説明です。要約すると,主君が将軍の“有害”とならないための「避けるべき3つの心構え」を説いています(『「孫子の兵法」がわかる本』守屋洋 三笠書房より)。すなわち,
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となり,ここから導かれる教訓は,「上司は部下を信頼し,部下に仕事を任せ,余計な口出しはしない」ということになります。組織としての成果を出すには,部下と関係性を築くことに加え,上司としての器量(=人間力)も大きく問われると言えそうです。
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リーダーの人間力が部下のモチベーションに影響し,チームのパフォーマンスを決定づける
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