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◆ 自分を守るために「断る力」を身につけよう
目上の人とのやり取りで特に困ってしまうのが,断りや反対意見を伝えるときです。現状で手一杯なのに無理な仕事を押しつけられたり,得意先から採算の合わない取引を提案されたりと,断るのに窮する場面が日々襲ってきます。
依頼や誘いをすべて断るわけにはいきませんが,時間と体力は限られているので無理な要求に対して,場合によっては断る勇気を持つことも必要です。そうしたときも,できるだけ角が立たない断り方をしないと,上司や取引先との人間関係が悪くなるだけでなく,社内の評価にも影響しかねません。
ビジネスシーンでの「断る力」は,言葉選びとその要素にかかっています。言葉選びについてはあとで述べるとして,要素の組み立ては次のようになります。
@「感謝・敬意」,A「断り」,B「理由」,C「代替案」。この要素をもとに,良い断り方と悪い断り方の例をあげてみましょう。
●酒席を断るケース
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○ お誘いありがとうございます(@)。誠に申し訳ありませんが(A),今夜 はあいにく恩師との先約がありますので(B),よろしければ今度ぜひお供 させてください(C) |
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だいたいこの要素を並べれば上司も面目が立ちますし,強要するわけにもいかなくなります。Bの言い方では,「取引先と外せない用がある」「病院の予約をしているので都合がつかない」など,他所から強制力が働いていることを明確に伝える必要があります。
◆ 相手の面目を保った言い方を心がける
このほかのケースについても順にみていきましょう。できるだけ@〜Cの要素を織り込むほど物腰の柔らかい言い方になり,相手も面目を保ったまま引き下がりやすくなります。また,お詫びと断りの言葉だけでは,素っ気ない印象を与えます。関係の維持につながるような言葉を入れると,今後の相手との関係も良好に保てるでしょう。
●手に負えない急用を断るケース
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○ お声がけありがとうございます。恐れ入りますが,△△商事への提出資料を 今週中に仕上げなければいけないので,こちらが終わりしだいお引き受けす るということでいかがでしょうか(いまは手一杯ですが,来週なら喜んでお 引き受けいたします) |
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急ぎの仕事が重なれば,どちらかを犠牲にしなければいけません。上司にも仕事の優先順位を認識してもらう断り方をしましょう。急ぎの仕事が重なれば,どちらかを犠牲にしなければいけません。上司にも仕事の優先順位を認識してもらう断り方をしましょう。
●取引を断るケース
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× 申し訳ありません。今回はお断りさせていただきます |
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○ ご提案ありがとうございます。各所に問い合わせましたが,資材の高騰で利 益を出すのが難しく,お断りせざるを得ない状況です。今回は貴社のご意向 に沿いかねる結果となり申し訳ございません。次回はお役に立てるよう,い っそう努力いたします |
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取引の実現に向けて,自分たちも積極的に行動したことを述べるとともに,付き合いの継続を希望する言葉も伝えましょう。
●打ち合わせや会議で反対意見を述べるケース
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× お言葉を返すようですが,そのご意見はどうかと思うので反対です |
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○ そのご意見はごもっともです。一点,私の見解も申し上げたいのですが,聞 いていただけないでしょうか |
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相手の意見もわかる,とワンクッション置いてから,相手に耳を傾けてもらう状況をつくります。「反対」などと拒否すると,自分の意見も遮断されてしまいます。
●社外交渉で承諾を迫られるケース
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○ 誠に申し訳ございません。ご希望に沿いたいのですが,私の一存では決めか ねる事案ですので,いったん持ち帰り,上の者と相談させていただけないで しょうか |
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同じ相手に何度も使うと,自分で決められないヤツ,という悪い印象を与えるので,使いどころは限られます。その場合も,仕事を受けたいという態度を示しつつ,自分の権限不足を理由にあげれば,後日に断りの連絡を入れる際も,仕方がないと相手も納得しやすくなります。
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