8.要所で使えば企画書が締まるカタカナ用語


◆ 見知らぬカタカナ用語ほど注目される

 新型コロナウイルスの報道で聞きなれないカタカナ用語が次々と使われだしたとき,なぜ日本語で表現しないのか,という意見が報道機関に多数寄せられたそうです。そして,近頃はカタカナ用語のあとに日本語の言い換えが補足されるようになりました。たとえば,「クラスター(感染者集団)」「パンデミック(世界的大流行)」「オーバーシュート(爆発的患者急増)」「ロックダウン(都市封鎖)」などはおなじみです。
 こうしたカタカナ用語が日本語の中に混じると,意味のわからないものほど「おや?」と相手の注意を喚起しやすいため,ビジネス分野でも提案書や企画書,プレゼンテーションなどの随所にカタカナ用語がよく使われています。

◆ 日本語に言い換えられることが大切

 会議や書類でカタカナ用語を使うときも,適切に活用されていれば発言や文章を印象づける飛び道具になりますが,使い方が間違っていたり,説明を求められたときに不明瞭だったりすると周囲の評価はガタ落ちです。カタカナ用語は,意外と使いどころが難しく,はったりで用いると墓穴を掘りやすいのでご注意ください。

 以下のカタカナ用語は,ビジネス関連の書籍やテレビ番組で比較的よく使われているものです。このうち,いくつご存じでしょうか。このようなカタカナ用語が会議などで無節操に使われていても,自分に発言の順番が回ってきた際,あえてカタカナ用語を使わず,適切な日本語に置き換えます。すると,逆に知識や教養をアピールできるので,基本的なカタカナ用語は押さえておきたいところです。

 □ アカウンタビリティ(accountability)

 □ アセット(asset)

 説明責任,会計責任

 資産,財産

 □ アジェンダ(agenda)

 □ アテンド(attend)

 協議事項,検討課題,協議日程

 付き添い(人),世話(人)

 □ アライアンス(alliance)

 □ イノベーション(innovation)

 (企業同士の)提携,連合

 技術革新,抜本的改革

 □ インセンティブ(incentive)

 □ インバウンド(inbound)

 出来高払い,報奨金,動機づけ

 外国人の訪日,顧客の来訪,電話応対

 □ エビデンス(evidence)

 □ オルタナティブ(alternative)

 証拠,確証,根拠となるデータ

 代替案,代替手段

 □ ガバナンス(governance)

 □ キュレーション(curation)

 企業の内部統制(管理体制)

 情報を取捨選択して整理すること

 □ コアコンピタンス(core competence)

 □ コミッション(commission)

 独自技術を集積している中核の事業部門

 手数料,仲介料,専門の委員会

 □ コミットメント(commitment)

 □ コンティンジェンシー(contingency)

 責任を伴う約束(関与),公約

 偶然性,不確実性

 □ コンプライアンス(compliance)

 □ サステナビリティ(sustainability)

 法令遵守

 (環境・社会・経済への影響を考えた)持続可能性

 □ サプライチェーン(supply chain)

 □ ステークホルダー(stakeholder)

 (原材料の調達から販売までの)供給連鎖

 利害関係者

 □ スーパーバイザー(supervisor)

 □ ソリューション(solution)

 管理者,店舗の経営指導者,監修者

 問題解決(の手段・方法)

 □ ダイバーシティ(diversity)

 □ デフォルト(default)

 多様性,多様な人材の積極的な活用

 初期設定,標準 ※経済用語では債務不履行

 □ バイアス(bias)

 □ パラダイム(paradigm)

 偏り,先入観,偏見

 (ある時代や分野における)概念,枠組み

 □ パラドックス(paradox)

 □ ファシリテーション(facilitation)

 逆説,二律背反

 会議や業務を円滑に進行させること

 □ ブラフ(bluff)

 □ フレームワーク(framework)

 はったり,誇張

 アイデアや情報を整理するための枠組み

 □ ペルソナ(persona)

 □ ベンダー(vendor)

 商品・サービスを利用する典型的な顧客モデル

 製造元,販売供給元,販売代理店

 □ ポートフォリオ(portfolio)

 □ マイルストーン(milestone)

 資産の分散投資,金融商品の組み合わせ

 中間目標,工程の節目

 □ リソース(resource)

 □ リスクヘッジ(risk hedge)

 会社の資源・資産(ヒト・モノ・カネ)

 危険回避(策) ※金融用語では分散投資

 □ リテラシー(literacy)

 □ リファレンス(reference)

 特定分野の情報を理解・分析し応用する能力

 参考文献,参考資料,(社員採用)の信用照会

※カタカナ用語の説明は,必ずしも英単語の原意ではなく,ビジネス用語としての使用例です。

Back to Page 2.

Page 3.

Go to Page 4.

 

 

目次へ戻る