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ファシリテーターは会議の進行役のようなものです。会議の参加者たちは議題に集中して考え,話し合いますが,ファシリテーターはそれを中立・公平な立場で支援し,会議の議論がスムーズにすすむように,またよい結論が出るように舵取りをします。
◆ コンテントとプロセス
「コンテント」とは,会議の議題(テーマ)や議論されている内容のことを指します。一方,「プロセス」とは,会議の段取りや時間配分,参加者の発言状況や心理状態,参加者同士の関係性などのことを指します(図表4)。
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参加者は議論の内容(コンテント)に集中すると,会議の目的を明確にせずに話していたり,議論する内容が偏っていたり,効率の悪い順番ですすめていたり,時間がかかりすぎたり,同じ人ばかりが話していたり,逆に発言しづらそうな人がいたり,参加者同士で言い合いをはじめてしまったりと,いろいろなことが起こります。そこにファシリテーターが舵取りをすることで,議論がスムーズにすすむように,またよい結論が出るようにします。そのため,よく「ファシリテーターはプロセスに関わる」という言い方をします。
以下の2つのケースを読みくらべてみてください。
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<ケース1> |
あなたは職場の会議でファシリテーターを務めることになりました。現在開発中の製品Xと製品Yのどちらを今後の主力製品にしていくかを決める重要な会議です。会議がはじまり,あなたが「意見のある人はいますか?」と言うと,A部長が製品Xの優れた点を滔々と説明しはじめました。A部長の説明には迫力があり,何人かの参加者がA部長の意見に賛同しました。次にあなたは「ほかに意見はありませんか?」と問いかけましたが,手をあげる人はおらず,そのまま製品Xが主力製品に選ばれました。 |
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<ケース2> |
あなたは職場の会議でファシリテーターを務めることになりました。現在開発中の製品Xと製品Yのどちらを今後の主力製品にしていくかを決める重要な会議です。まず多様な意見を出してもらうべきだと考えたあなたは,参加者を3人1組のチームに分けて,意見交換をする時間をとり,その後,各チームでどのような意見が出たのかを全体に発表してもらいました。次に,あなたはこれまで出た意見をポストイットに書いて,ホワイトボードに貼り付けていきます。そして,参加者全員で同じような意見を1つにまとめたり,優先順位をつけたりして見える化していきました。その作業をすすめていくうちに,徐々に製品Xのほうが製品Yよりも会社にとってメリットが多いことが明らかになっていきました。そして,製品Xが主力製品に選ばれました。 |
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◆ プロセスへの関わり方で納得感に大きな差が出る
2つのケースを読みくらべてみて,いかがでしたでしょうか? どちらのケースも結果的には製品Xが選ばれることになるのですが,ファシリテーターのプロセスへの関わり方の違いによって,会議の充実度,特に,結論に対する各参加者の納得感に大きな差が出たと思います。ケース2のようなプロセスを経て出た結論であれば,選ばれなかった製品Yのほうが良いと思っていた参加者も納得し,今後製品Xの開発・販売に前向きに取り組んでくれることでしょう。
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