いでしょうか。思いついたばかりのアイデアなんて,当然ながら不完全なところばかりで,そこを大事に育てて少しずつしっかりした企画にしていくことが大切なのですが,「ダメな理由をどんどんあげる」のが得意な技術者は,ついついツッコミを入れすぎて,せっかくのアイデアの芽を摘んでしまうことがあります。こういう職場から画期的な新製品が生み出されるとは思えません。これは明らかに問題です。
一方で,「ダメな理由をどんどんあげる」というのが有効な場合もあります。たとえば,出荷直前の製品のレビューを行う場合。これから出荷される製品ですから,不完全なところがあっては大問題です。これは厳しくチェックする必要があります。こういう場合には「ダメな理由をどんどんあげる」という能力はとても有効に機能すると思います。
◆ 場面によって使い分けることが重要
要は,場面によって「ダメな理由をどんどんあげる」ところと封印すべきところを使い分けることが重要です。出荷直前の製品のレビューを行う場合などには,「ダメな理由をどんどんあげる能力」を大いに発揮して,不良品が出ていくことをしっかり防止すべきです。逆に,新製品のアイデアについて話し合う場合などには,「ダメな理由をどんどんあげる能力」は封印すべきです。
そして,このような場合には,相手の提案に対して「そうですね」とまず肯定したあと,「それに加えて」「さらに」と話を広げていく,「Yes, And」という話法がとても有効です。ツッコミ型のスタイルが身についている方には慣れるまで練習が必要になると思いますが,ぜひマスターして使い分けることをおすすめします(図表5)。
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