11.リーダーの役割,チームづくりの原則


チームづくりの5原則

 チームとは,ある目的を持った集団です。チームには,目標に向けてメンバーを巻き込み,全員の力をまとめるリーダーが必要です。リーダーの役割は,メンバーのパフォーマンス(才能・能力・情熱)を最大限に発揮させる機会や場所を提供すること。同じ集団でも目標やリーダーの有無によってミスの発生率は大きく変わります。現場でも1人が孤立して作業を行うと,エラーに気づかないまま事故を起こす確率が高くなるので,複数人が適切に関与し合いながら進めるのが理想的です。
 チームワークのよい職場をつくるうえで参考にしてほしいのが,@価値ある目標,A目標の共有,B役割の分担,C相互啓発の実行,D人間性豊かなリーダーの存在,からなる「チームづくりの5原則」です。
 @の目標は,使命感と誇りを持って取り組める目標であること。Aの共有は,そのチーム目標を全員が納得して受け入れ,協力して目標達成に向かっている状態。Bの役割分担は,それぞれに割り当てられた仕事の主役として,責任を持って能動的に働けること。Cの相互啓発は,チーム内で相互に学び合い,教え合い,助け合い,競い合える職場風土であること。Dの人間性豊かなリーダーとは,チームのビジョン(自分たちが目指す姿,あるべき姿)を示し,人間味を持ってメンバーに語りかけ,話を傾聴する存在であることです。

チームづくりの5原則

  @ 価値ある目標                       
 ・チームの力を結集することで達成でき,使命感と誇りを持って取り組める目標であること
  A 目標の共有                        
 ・話し合いのもと,チーム目標を全員が納得して受け入れ,協力して目標達成に向かっている状態
  B 役割の分担                        
 ・それぞれに割り当てられた仕事の主役であることを実感でき,責任を持って能動的に働けること
  C 相互啓発の実行                      
 ・チーム内で相互に学び合い,教え合い,助け合い,競い合える職場風土であること
  D 人間性豊かなリーダーの存在                
 ・チームのビジョンを示し,人間味を持ってメンバーに語りかけ,傾聴する存在であること

 なお,@の目標を設定するときは,その目標が「会社の収益」「顧客の満足」「社員の満足」に応えるものであることが大切です。「今期中に不良率を前期の1/10に下げる」「ヒヤリハットを記録し,毎週,報告会を実施する」「○○の資格取得率をチームで70%以上にする」など,チームと個人にとって価値ある目標を設定してください。

チームを成立させる3要素

 リーダーが中心となってチームづくりをしていく過程で,次の3つの要素が機能しているか確認しましょう。

・目標……チーム目標のほかに,ビジョンや方針,理念を共有している
・情報……コミュニケーションを十分に取り,業務に関連した最新情報や注意事項,各種
  通達などを共有し,メンバーの健康状態にも関心を持ち配慮している

・意欲……メンバーの役割が明確で,意欲を持って自立した行動をとっている

 これら3つの要素がチームを成り立たせる条件となり,どれか1つでも欠くと,チームワークは働かなくなり,ミスも増加して事故や災害を招きやすくなります。そして,3つの要素をバランスよく連動させていくのが,扇のかなめとなるリーダーです。
 チームワークが機能するようになると,相乗効果(シナジー効果)が発揮されるようになります。例えば,5の力を持ったメンバーが3人いた

としても,個人プレイのままでは,5+5+5=15の力にしかなりません。しかし,リーダーが目標と情報と意欲を連動させているチームでは,5×5×5=125の力にもなります。これが相乗効果であり,ポカミスの抑制,生産性の向上,働きやすさの改善,個人のスキルアップなど,好影響は多方面に及び,効果が15から125に高まるというのも,けして大げさな表現ではないのです。

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