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部下の何を育成すればよいか
ビジネスパーソンが身につけるべき能力として,経済産業省が2006年に発表した「社会人基礎力」があります。社会人基礎力は,「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力と12の能力要素から構成され,「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」とされています。また,これらの能力は,業種や職種を問わず普遍的に求められ,どのような仕事にも持ち運び可能なポータブルスキルだともいえるのです。
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経済産業省が発表した「社会人基礎力 12の能力要素」 |
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@ 前に踏み出す力(アクション) :主体性 働きかけ力 実行力
A 考え抜く力(シンキング) :課題発見力 計画力 創造力
B チームで働く力(チームワーク):発信力 傾聴力 柔軟性 情況把握力
規律性 ストレスコントロール力 |
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社会人基礎力は,私たちが各ライフステージで活躍しつづけるために必要な能力ではあるものの,分類や名称が把握しにくいため,筆者なりに以下のように4つのカテゴリーに整理してみました。
これら4つの能力は,人材育成を通して部下に身につけさせるべきものですが,上司自身もすべての能力をバランスよく備えることが求められ,かつ率先垂範することによってリーダーシップが発揮されます。
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4つのカテゴリーに整理した「社会人基礎力 12の能力要素」 |
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B コミュニケーション力 |
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発信力 傾聴力 柔軟性 情況把握力 |
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@ 実行力:自分事として主体性と強い意志をもって業務に取り組み,目的を実現 するために周囲の人々も巻き込みながら遂行する力です。
A 思考力:現状の問題と課題を明らかにし,その課題解決のために何をするべき か創造的に計画する力です。
B コミュニケーション力:自分の意見を的確に述べ,他人の意見も正確に理解す る力です。意見や立場の違いなど,関係性を考慮しながら調整する力でもあり ます。
C メンタル力:誠実さや精神の強さです。ルールや常識を遵守して周囲と協調 し,強いストレスを受けても心身の健康を維持できる力です。
どのような方法で部下を育成するか
基本的な育成方法としては,実地であるOJT,座学としてのOff-JTの主に2種類があり,それぞれに以下のような長所と短所があります。
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OJT (オン・ザ・ジョブ・ トレーニング) |
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業務を行いながら 指導していく教育 |
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・実践的なスキルや知識が 身につく ・時間や費用がかからない ・丁寧できめ細かい個別指 導ができる |
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・体系的なスキルや知識の 習得が困難 ・その業務でしか役に立た ないことも多い |
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Off-JT (オフ・ザ・ジョブ・ トレーニング) |
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業務とは別に時 間・場所を取って 行う教育(勉強会 ,セミナー,研修 等) |
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・体系的にスキルや知識を 身につけることができる ・幅広い知識が得られる ・社員のモチベーションが 上がりやすい |
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・時間と費用がかかる ・業務と直接的には関係な い知識も含まれる ・教育が業務に直結しない こともある |
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ただし,自社でしか通用しないスキルや知識ばかり教育していると,部下のモチベーションが下がります。社員の多くは将来的なキャリアを思い描いており,他社でも通用するポータブルスキルを習得したいと考えているからです。上司は,部下のポータブルスキルを磨くための支援についても検討しなければなりません。
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・社内用語 ・自社製品特有の知識(品番等)
・会社や部署の歴史や経緯 ・社内の権力関係や人間関係
・他社では使っていないシステムの操作法 ・会社特有の業務方法,フロー |
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・育成する能力は,@実行力,A思考力,Bコミュニケーション力,Cメンタル力 ・育成目的に合わせて実地(OJT)と座学(Off‐JT)をバランスよく使い分ける ・自社以外でも幅広く通用する普遍的な知識やスキルも学ばせる |
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