エフェクチュエーションの形成過程
エフェクチュエーションの論理は,どのようにして形成されたのでしょうか。アメリカにおいて,個人またはチームが1社以上の企業を設立し,創業者としてフルタイムで10年以上活動し,さらに少なくとも1社が株式公開を果たした27名の起業家を対象に,「シンクアラウド法」と呼ばれる調査方法を実施しました。
シンクアラウド法とは,もともとコンピュータプログラミングの研究に使われていた手法で,人が問題解決や意思決定の過程でどのように考えるのかを解析します。その中で,17項目の質問リストを用いて,参加した起業家たちに問題解決の過程を言葉にしてもらい,それらを収集して研究の基礎データとしました。
なお,サラス・サラスバシー教授は,エフェクチュエーションが一般的な「理論(Theory)」ではなく,経験豊富で成功した起業家たちの行動から派生した一貫性のある「論理(Logic)」であると強調しています。つまり,エフェクチュエーションは現実世界の行動にもとづいて構築された論理体系であり,単なる仮説や命題にとどまらないということを意図しています。
エフェクチュエーションのステップ
エフェクチュエーションの具体的なステップについて,学校の文化祭で出し物を決めるプロセスを例として説明します。
ステップ1 :手元にある資源を確認し,パートナーを集め,出し物を考え,予算(損失ライン)を決める
必要に応じて,パートナー(協力者)を集めます。そして,自分とパートナーの手元にあり活用できる資源について確認します。
文化祭の場合,出し物を協力してつくるために,パートナーとなるメンバーを集め,そこで話し合います。たとえばAさんはかわいいものが好き,Bさんはスイーツづくりが得意,Cさんのお兄さんは歌がうまいといった情報を共有します。この情報共有は,エフェクチュエーションにおいて各々が持っている「パッチワークキルトの布
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