スライドを使って説明する
人間の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚)で得られる情報のうち,目から入る視覚情報が全体の80%以上を占めるといわれています。耳から入る情報は10%弱で,耳よりも目から入る情報量が圧倒的に多いのです。
そこで,スピーチやプレゼンテーションを成功させるには,音声効果と視覚効果をバランスよく組み合わせることが秘訣です。視覚効果が得られる手法,つまりスライドを使った場合の話し方は,次の手順で進めます。
ステップ1:スライドを見せる
ステップ2:話をする
まず,スクリーンなどに投影されているスライドを指し示します。このときの指先の方向は,これから話す内容と一致する場所を正確に指してください。ここまでは言葉を発せず,無言で行います。
次に,聴衆1人ひとりに視線を送り,スライドに書かれている内容を話します。このときのポイントは,ステップ1とステップ2を同時に行うのではなく,時間差で行うこと。スライドを指し示す行為と,話す行為は別々に行うものと考えてください。
こうしてスライドを上手に使うことで,自信を持って話せるようになり,ダイナミックなプレゼンテーションを行うことができます。
スライドを使って聴衆の視線をずらす
スライドを活用することで,あがらずに話せるようにもなります。6ページで述べたように,人があがってしまう最大の原因は聴衆からの視線です。その視線をずらすことができれば,自分のペースを保ちながら話しつづけられます。
「こちらのスライドをご覧ください」
この一言で聴衆の視線は,いったん話し手からスライドに移り,スライドに書かれている内容を話している間に自分のペースを取り戻すことができます。
また,スライドはカンニングペーパーの代わりにもなります。たとえ途中で話す内容を忘れてしまったとしても,スライドを確認することで,何を話せばいいのか思い出せるでしょう。
配布資料で聴衆の視線をずらす
あらかじめ資料を配布しておくことでも,聴衆の視線をずらせます。
「では,資料をお配りしますのでご覧ください」
そのように告げて資料を配布してから説明を始めることで,聴衆の目は資料に集中し,聴衆からの視線を受け止めることなく,自信を持って話すことができます。
また,配った資料を聴衆に黙読してもらうという方法もあります。
「みなさん,お手元に資料が届きましたでしょうか。恐れ入りますが,今お配りした資料に一度目を通していただけますでしょうか。2分ほど時間を取ります。その後,あらためて私からご説明させていただきます」
こうすることで,さらに多くの時間を確保することができます。もし,何種類かの配布資料を用意しておくことができれば,いざというときに対応できます。
ホワイトボードで聴衆の視線をずらす
ホワイトボードに文字や図を板書する際には,聴衆に背を向けることになります。つまり,この状態で聴衆からの視線を遮断できるのです。
板書するスピードを調整しながら,次に話す内容を思い出すこともでき,自分のタイミングで前を向いて話を再開できます。
このように,いくつかの方法で聴衆からの視線をずらせれば,あがらずに,自分の力を100%発揮することができるでしょう。
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