納得感を持って学びに専念させるには?
リスキリングでは,個々の社員にどのようなスキルを習得させるのかということも重要なポイントとなります。
ひと口にDX人材といっても,15ページでも述べたように,ビジネスプロデューサーにビジネスデザイナー,テックリード,データサイエンティストなど,さまざまな職種があります。それぞれの役割や専門性は大きく異なるので,どの人材に,どのような職種になるためのリスキリングを行わせるのかということは,事前に明確な合意形成をしておく必要があります。人材ごとの経験や適性も十分に考慮したうえで,学ばせるカリキュラムを選んだほうがいいでしょう。もちろん,本人の希望をある程度踏まえたうえで選定すべきなのはいうまでもありません。
特に重要なのは,会社の事業戦略に紐づけて必要とされる職種を選び,その職種を得るためのリスキリングを行わせることです。
たとえば,事業戦略を遂行するためのポイントが「データ活用」であれば,データサイエンティストを重点的に育て上げる必要があります。また,全社のDXプロジェクトを取り仕切れるような人材が社内にいなければ,リーダーシップなどの適性を持った候補者を数名立て,ビジネスプロデューサーを育て上げるという経営判断もありうるでしょう。
いずれにしても,「今後,どのように事業を展開していくのか」ということを出発点として,その遂行のために必要な知識やスキルを習得させることが,リスキリングを成功へと導きます。社員にとっても,「なぜ,この知識やスキルを習得するのか?」という目的が明確になり,納得感を持って学びに専念できるようになるはずです。
コンサルティング会社など外部の力を借りるのも一策
逆に,絶対に避けるべきなのは,何の目的も計画もなく知識やスキルを身につけさせようとすることです。よくあるケースが,「人気のある資格だから,とりあえず『データサイエンティスト検定(24ページ参照)』を受験させてみよう」といったように,
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