10.モチベーションが高いシニアと低いシニア,それぞれの本音

やる気のある人ばかりではない

 昨今,シニア人材は二極化しています。「やる気のあるシニア」と「やる気のないシニア」の乖離が進んでいるのです。実際には,両者の中間に「ほどほどに仕事をするシニア」がおり,三者三様の様相を呈しています。
 興味深いことに,二極化するシニア人材には「262の法則」が当てはまるといわれています。262の法則とは,イタリアの経済学者,ヴィルフレド・パレートが提唱した「どのような集団でも優秀な働きをするのは2割,普通の働きをする人は6割,貢献度の低い人は2割」という理論です。では,シニア人材の本音から,それぞれの特徴を探ってみましょう。

262の法則


  どのような集団でも優秀な働きをするのは2割,普通の働きをする人は6割,
  貢献度の低い人は2割という理論。

■ やる気のあるシニア(上位2割)
 やる気のあるシニアは,優秀な働きをする上位の部類に入り,全体の2割を占めます。このタイプのシニアは,物事の考え方がポジティブで自己研鑽を惜しまない人たちです。「新しいスキルを身につけたい」「好きな仕事を続けられて満足」「若い人たちには負けない」といった考えがあります。高いモチベーションと自己規律によって仕事のパフォーマンスも良好で,任せた業務を的確にこなします。ただし,報酬には少なからず不満を抱いており,待遇のいい他社に転職する可能性があります。

やる気のあるシニア人材の本音


  ●「仕事をやる以上は,新しいスキルを積極的に身につけたい」
  ●「嘱託社員だが,好きな仕事を続けられて満足している」
  ●「若い人に負けないスキルがあるので,好待遇の他社に転職してもいい」

■ ほどほどに仕事をするシニア(中間6割)
 ほどほどに仕事をするシニアは,普通の働きをする中間の部類に入り,全体の6割というボリュームを占めます。このタイプのシニアは,それなりに向上心を持ちながらも自分のキャリアを諦め,日々の仕事を粛々とこなしている人たちです。
 仕事は定年前と同じパフォーマンスで行っていますが,「給料が下がった」「技術を教えても若手がすぐに辞めてしまう」「この年齢だと研修に参加しづらい」といった不満を抱いています。仕事を長く続けたいと希望している人が多く,基本的には現在の雇用条件を受け入れています。

ほどほどに仕事をするシニア人材の本音


  ●「給料は下がったが,若い人よりも年金は恵まれているので仕方ない」
  ●「会社から技術継承を求められたが,若い人がすぐに辞めてしまう」
  ●「60歳を過ぎたらスキルアップ研修に参加しづらくなった」

■ やる気のないシニア(下位2割)
 やる気のないシニアは,貢献度の低い下位の部類に入り,全体の2割を占めます。中には,相当な実力があっても再雇用後から意図的に能力の発揮を抑えている人も少なからずいて,再雇用後の待遇に大きな不満を抱きながら会社に残っています。「会社から期待されていない」「年金の受給が始まるまでいるだけ」「余計な仕事はしたくない」といった考えを持っていると,日頃の言動にも不平や不満が表出しがちです。とはいえ,ほかに働き先が見つからないため,65歳までは無難に仕事をこなして会社に残りたいと思ってしまうのも仕方のないことかもしれません。

やる気のないシニア人材の本音


  ●「役職はなく,給料も下がり,会社から期待されていないと感じる」
  ●「年金の受給が始まる65歳までは仕方なく会社にいるだけ」
  ●「余計な仕事はしたくない。定時になったらすぐに帰宅する」

    Point

●シニア人材の多くが再雇用後の待遇に不満を抱いている
●向上心があり,スキルアップを望むシニア人材は少なくな
 い

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