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“終わり”を意識する「期間限定思考」
誰でもウマの合う人とだけ付き合いたいと思うものですが,職場ではそうもいきません。中には「嫌な人だな」と感じる相手もいるはずです。嫌悪感のレベルも「何となく嫌い」から「精神的に耐えがたいほど嫌い」まで差があります。
では,精神的に耐えがたいほど嫌いな人がいたらどうすればいいでしょうか。産業医である私からのアドバイスは,“終わり”を見すえているかどうかで心の持ちようが大きく違ってくるということです。そこで,会社を辞めたいと思うほど嫌いな相手がいるときには,「期間限定思考」をおすすめします。これは具体的に期間を定め,その期日まで状況が改善されなかったら会社を辞めようという考え方です。
下のケーススタディは,実話にもとづく事例です。苦手な先輩がいて転職を考えていましたが,期日を定めたら心に余裕が生まれ,転職を避けられました。このようなケースに対して,期間限定思考はとても役立ちます。
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心をかき乱す同僚に多いマニック・ディフェンサー
いっしょに賑やかな時間をすごせても,あとで精神的にどっと疲れる相手がいるものです。その人は「マニック・ディフェンサー」の疑いが濃厚です。マニック・ディフェンサーとは,心の傷や葛藤を隠すために,あえて明るく振る舞う人のこと。最近は,SNSでマニック・ディフェンサーを多く見かけます。たとえば,友人との写真をたくさんアップしている人,毎日の充実ぶりをアピールしている人,恋人の写真を投稿して幸せぶりを過剰に強調している人などです。そうした人は,自分の劣等感を隠すために他人の力を借りたり,自己演出で情報を発信したりする特徴があります。ほかにも失恋で自暴自棄になりやすく,異性関係が乱れているケースも見られます。
マニック・ディフェンサーを判断する方法があります。それは,いっしょにいる時間は楽しくても,離れたあとには心が満たされず,不安やそわそわした感覚が残ります。同僚がマニック・ディフェンサーかもしれないと感じたら,適度に距離を置かないと,始終,相手のペースで混乱することになります。
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● 常に本音を言えないストレスからSNSなどに過激な投稿をする ● SNSに,ふだんの生活が充実していることを誇示するような書き込みや 写真を盛んに投稿する ● 失恋すると,やけ酒を飲んで大騒ぎする。相手を選ばずに異性と付き合う ● 自分が付き合っている友人や恋人を「高学歴」「お金持ち」「ルックスが いい」などと過剰にアピールする |
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無理に仲よくしなくてもいい
職場は,逃げ場のない環境です。だからこそ,いっしょに働く同僚との人間関係には配慮する必要があります。しかし,「どうすれば好かれるだろうか」とか,「この人と仲よくしたほうがいいだろうか」などと八方美人になる必要はありません。むしろ,「どこに行っても合わない人はいる」と肝に銘じることです。そして,自分が職場で少しでも快適に過ごすには,どうすればよいかを模索しましょう。
職場の中で濃密な付き合いは必要ありません。割り当てられた仕事をこなせばいいのですから,苦手な人とは仕事だけの割り切った関係にとどめるのが安全です。
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