No.12.『1分間マネジャー』 K.ブランチャード,S.ジョンソン

 部下がやる気を出し,自発的に動くようになる

 マネジメントは人を相手にするだけに特有の難しさがあり,管理職に就いた誰もが悩み抜く問題です。そのため,マネジメント関連の本は数多く刊行されていますが,実践的かつ効果が期待できる良書は限られてきます。その中でも,マネジメントの急所を網羅し,各ポイントを的確に解説しているのが本書です。マネジメントスキルの定番として,40年近くにわたり,世界各国の管理職に読み継がれてきました。
 タイトルの「1分間マネジャー」とは,マネジャーの仕事を「教える」「ほめる」「叱る」の3つに絞り,「1分間目標」「1分間称賛」「1分間修正」という3つの手法としてまとめたものの総称です。これらを実践するだけで,部下はやる気を出し,自発的に動くようになり,基本的なマネジメントが機能するようになります。

 あくまでもシンプルな手法なので,効果を疑いたくなるかもしれませんが,行動科学と精神医学の研究成果にもとづいた内容です。アップル,マイクロソフトなどの企業のほか,ハーバード大学や米陸海空軍まで多くの企業や組織に導入され,成果が立証されています。私も会社経営を始めたころは,社員のマネジメントに悩み,本書を手に取りました。そして,「教える」「ほめる」「叱る」を意識して社員と接するようになってから彼らとの関係性が大きく改善したことを覚えています。
 マネジメントの手法は,寓話形式に落とし込まれています。若者が会社を訪問して3人の社員から3つの秘訣を学び,最後に1分間マネジャーと質問のやり取りをして疑問を解消するというストーリーです。1時間もあれば読み終わり,「1分間マネジャー」のすべてが把握できます。管理業務の未経験者,部下との関係に悩む上司,組織力を高めたいと考えているリーダーにおすすめするほか,子育てや学校教育など,ビジネス以外でも広範囲に応用できる手法です。

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