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1文60字以内,1文1要素を意識する
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本年4月1日に発売した製品Aの販売状況について,4-5月の売上データを集計したところ,業界全体の売上減少が昨年から続く中,価格を680円に抑えた製品Aは当初の予想を上回る1万2000個を受注し,各支店の営業担当が行った販売店からの聞き取り調査によれば,他社製品より200円近く安い価格帯,レトロ調デザインが消費者の購買につながったのではないかと報告しています。
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報告書で上記のような文が繰り返されると,読み手をうんざりさせます。1文にさまざまな要素を詰め込むと,話のポイントがぼやけてしまうため,それぞれの要素をダイレクトに伝えるには文を短くして,1文につき1要素の構造にしましょう。例文を1文1要素にすると,次のように書き直せます。
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本年4月1日に発売した製品Aの販売状況について,4-5月の売上データを集計しました。その結果,業界全体の売上減少が昨年から続く中,価格を680円に抑えた製品Aは当初の予想を上回る1万2000個を受注しました。各支店の営業担当が販売店からの聞き取り調査を行っています。調査によれば,他社製品より200円近く安い価格帯,レトロ調デザインが消費者の購買につながったのではないかと報告しています。
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上記のように,1文を4つに分けたことで1文1要素の構造になり,それぞれの経緯や前後関係も把握しやすくなりました。ビジネス文で最も大切なのは,わかりやすさです。書き慣れていない人や,意味不明などと注意を受ける人は,1文の目安を60字以内にして,1文1要素で書くように意識してください。
内容によっては60字を超えてしまう場合もありますが,前後の文が短ければ,全体の読みやすさは格段に向上します。シンプルな文が続くとテンポよく読めるので,読み手も先へ先へと視線を移動し,最後まで読みとおしてくれるでしょう。ビジネス文の初心者は,「1文60字以内」「1文1要素」を徹底することが上達の秘訣です。
1文が長いと「ねじれ文」になりやすい
句点(。)を入れずに長々と書きつづけていると,下記のように意味が通らない文になってしまうこともあります。
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予想以上に製品Aが消費者から受け入れられた理由は,営業部が販売網を九州・四国エリアまで拡大したことからスケールメリットを活かせるようになり,大量生産によって製造コストが下がり,販売価格を抑えることができました。
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主語の「理由は」と,述語の「抑えることができました」が対応していません。このように主語と述語が一致していない文を「ねじれ文」と呼び,悪文の典型とされています。このねじれ文を書き直すなら,文末を次のように変えます。
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予想以上に製品Aが消費者から受け入れられた理由は,営業部が販売網を九州・四国エリアまで拡大したことからスケールメリットを活かせるようになり,大量生産によって製造コストが下がり,販売価格を抑えられたことです。
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意味は通るようになりましたが,まだ読みやすい文とはいえません。そこで,句点を入れて2つに分けると,前文より結論と論拠の因果関係が明確になります。
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予想以上に製品Aが消費者から受け入れられた理由は,大量生産によって製造コストが下がり,販売価格を抑えられたことです。営業部が販売網を九州・四国エリアまで拡大したことからスケールメリットを活かせるようになりました。
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長すぎる文に起こりやすい悪文の典型例として,「重複」もあげられます。
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予想以上に製品Aが消費者から受け入れられた理由は,営業部が販売網を九州・四国エリアまで拡大したことからスケールメリットを活かせるようになり,大量生産によって製造コストが下がり,販売価格を抑えられたことが理由です。
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重複とは,上記のように1つの文の中で同じ言葉を繰り返したり,同様の意味や表現を無駄に重ねたりすることを指します(例:「馬から落馬する」「腰痛で腰が痛い」)。長々とした文を書いていると,最初に書いた内容を忘れて,ねじれ文や重複の墓穴を掘りやすくなります。そうしたミスを防ぐうえでも,シンプルな文章を心がけたいものです。
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