2.本質をつかんだシンプルな提案──A4・1枚企画書の特徴

A4・1枚企画書は自分にも相手にもメリットが多い

 A4・1枚企画書は,1枚だけのとてもシンプルな提案です。提案する側も提案される側も,1枚だけなので扱いやすく,ページネーションをする必要もなければ,企画書を開閉する必要もありません。100人への配布も100枚ですみ,ホチキス止めも不要。企画書を用いて提案する中で最もシンプルな方法の1枚企画書には,ほかにも数多くのメリットがあるので,具体的に説明していきましょう。
● 提案するビジネスの本質をつかめる
 1枚企画書をつくるには,自分で必要な情報を整理して,一番大切なことを抽出しないといけません。そのためには,自分自身でビジネスの全体像をつかみ,筋道を立てて具体的にページを構成する必要があります。この作業が1枚企画書の根幹になるので,これから提案しようとするビジネスについてとことん理解し,その本質に迫ることになります。
● 短時間で提案の全体像を理解できる
 企画書を説明される側からすると,複数枚の企画書を使って,「最初に」「背景」「市場環境」などから説明されると,いったいいつから本題に入るのだろうと鬱陶しくなるでしょう。気が短い相手だと,プレゼンターの説明を聞かないうちに企画書のページをどんどんめくっていたりします。
 しかし,1枚企画書であれば,タイトルを見て何についての企画書かがすぐにわかります。また,項目を見ればどういう構成で何にポイントを置いて説明しているのかわかり,さらに項目の説明からおおよその内容が把握できます。理解が早い人であれば数秒,ふつうの人でも1分ほどで企画の概要がつかめる構成です。1字1字をゆっくり読んでも,5分前後といったところ。1枚企画書は,短時間で企画内容を相手に伝えられるベストな提案ツールです。
● 企画書の作成時間を短縮できる
 1枚企画書は,一般的な複数枚の企画書に比べて短時間で作成できます。ビジネスパーソンの多くは複数の仕事を抱えており,同時並行でいくつかの企画書や提案書を

つくらねばならない状況もあるでしょう。そのような場合でも,長時間かけて1つの案件に複数枚の企画書をつくる労力を削減できます。1枚企画書の作成に慣れて,構成する内容がすでに頭の中にあるなら,半日もあれば作成できるようになります。このように,時間の有効活用ができるのも特徴です。
● 複数枚の企画書を1枚にまとめられる
 詳細な説明が必要なときは,複数枚の企画書をつくらなければいけませんが,そんなときでも1枚企画書は有効活用できます。複数枚企画書の先頭ページを1枚企画書にして,企画全体を説明するのです。それによって,最初に企画内容の全体理解を促すことができ,その後の詳細な説明もスムーズに理解してもらえます。
● いろいろなバリエーションに展開できる
 1枚企画書は,さまざまなジャンルの企画に対応できます。当然,そこに書き込む内容はケースバイケースですが,たとえば新事業,新商品・サービス,営業,マーケティング,販促,プロモーション,商品,業務など広範囲に適用できます。
● 提案力がアップする
 企画書の作成時間を短縮したり,複数枚の企画書を1枚にまとめたりする能力は,自分自身の提案力(問題解決力や情報収集力,論理的思考など)を向上させます。また,1つの企画にかける時間を削減できれば,そのぶんをほかの企画に割り当てられるので,成功する件数もおのずとアップするでしょう。

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