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意見を持って行動することが求められる時代
今日,多くの企業が,社員に対し「1人ひとりが自律的に考え,主体的に行動する」ことを求めています。
このような潮流は,グローバル化がすすみ,市場の成熟度が進展した変化の激しい現代において,企業が生き残っていくために必須のものです。少数のリーダーが戦略を考え,それを現場が粛々と実行に移すようなトップダウン型の組織では変化に対応できません。管理職やリーダーだけでなく,新入社員でさえ,「自分で考え,意見を持って行動すること」が必要なのです。
もちろん,そんなことは誰でも頭ではわかっているはずです。にもかかわらず,それを実行しようとすると,その難しさを実感することになります。
みなさんにも,こんな経験があるのではないでしょうか。
・自分の意見をどうまとめていいかわからない
・話していると自分でも何が言いたいのかわからなくなってしまう
・自分の意見を伝えたつもりなのに,相手が動いてくれない
筆者はこれまで,ロジカルシンキングの講師としてさまざまな研修やセミナーに登壇してきました。そのなかで,多くのビジネスパーソンから,前述のように「意見がうまく伝わらなくて悩んでいる」という相談を受けてきました。誰もが,自分の意見を持ち,伝え,実現していくことに困難を抱えているのです。
意見を言うのが怖くて当たり前
意見を伝え,相手に行動に移してもらうためには,それなりの技術が必要です。ロジカルシンキングの観点からいえば,
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・自分が伝えたいことを,相手の興味・関心に沿う切り口で伝える
・事実と意見を切り分け,自分がそう考えた根拠をしっかりと説明する
・つねに根拠を持って考え,事実にもとづいて考えを深める
・自分なりのスタンスを取り,相手に期待する行動を明示する
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以上のことを押さえておかなければなりません。しかし,技術さえ身につければ,「自分の意見」が言えるかというとそうではありません。
実は,「自分の意見を伝える」ことは簡単なことではな
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く,むしろ,語るのが怖いと感じて当たり前なのです。
「自分の意見」とは何か?
本来の意味での「自分の意見」とは,「自分が大事にしている価値判断の基準に沿って,自分なりに考えた結果,導き出した結論(=取りたいと思った行動)を,他人に納得してもらえるように誠意を尽くして語る言葉」です。
そこには,自分が大事にしている価値観や信念,これまでの経験と知識,自分の生き方のすべてが反映されています。その意見を否定されるということは,自分自身のすべてが否定されることと感じても無理はありません。だから,意見を言うのは本来怖いと感じて当たり前なのです。一方で,「自分は割と自分の意見を言えている」と感じる人もいるでしょう。しかし,本当にそれは,「自分の意見」でしょうか?
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・自社が置かれている環境や,組織・上司の方針に合わせて,そこから逆算し たものを「自分の意見」だと思っていませんか?
・問題の“正解”がどこかにあり,その正解に合わせることが「正しい意見」 だと思っていませんか?
・意見の正しさにとらわれて,自分の意見を押しつけようとしたり,逆に他人 の意見のほうが正しく思えて押し黙ってしまったりすることはありません か?
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自分なりの意見を持ち,それを相手に伝え,相手に行動に移してもらうためには,伝えるための技術(=How)と合わせて,何を伝えたいのか,なぜそれを伝えたいのかというその人の意思・志(=will)が必要なのです。
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