顧客を待たせないサービスの実現に向けて
人々の消費意識が「モノからコトへ」と転換する中,企業は,ユーザーの顧客体験(CX)をいかに高めるかということに頭を悩ませるようになっています。
たとえば,製品の使い方に関する問い合わせや,修理の注文などを受けたとき,いかにスピーディーに対応できるか,ということは消費者の企業やブランドに対する信頼度に大きく影響します。製品を売って終わりではなく,その後もどれだけ懇切丁寧にサポートし,満足のいくサービスを継続的に提供できるか,ということが重要になっているのです。
ところが,実際にはカスタマーサポートセンターなどの対応窓口がお客さまから問い合わせやリクエストなどを受けても,それを処理する部門にしっかりとバトンタッチされず,対応が遅れたり,放置されたりしてしまうことがあります。これでは,サービスに対する信頼は損なわれ,お客さまは離れていってしまいます。
では,なぜこうした問題が起こるのでしょうか。それは,窓口のシステム・データベースと,オーダーを処理する部門のシステム・データベースが“分断”しているからです。日本企業の多くは,業務に使用するシステムやデータベースを,それぞれの部門が,それぞれの業務に使いやすいように開発してきました。
その結果,部門ごとに業務の部分最適化はすすんだものの,システムやデータベースは部門ごとに“サイロ化(縦割り化)”し,相互接続できない状態になっているケースが多いのです。
システムやデータベースがつながっていれば,カスタマーサポートセンターが入力したお客さまの問い合わせやリクエストの内容は,すぐさま対応する部門のデータベースにも反映され,それをもとにリクエストに応える作業が行えます。
しかし,つながっていなければ,カスタマーサポートセンターは電話やメールで担当部門とやり取りするしかなく,手間がかかるだけでなく,連絡が取れるまで時間を浪費することになってしまいます。場合によっては連絡が途切れ,お客さまからのリクエストを放置してしまうという最悪の結果を招きかねません。
サイロ化した各部門の情報を共有できる
こうした課題を解決するためには,“サイロ化”した全社のシステムやデータベースを,すべて一元化する必要があります。しかし,事業規模が大きければ大きいほど,すべてを一気に整備し直すというのは困難な作業となります。場合によっては数
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