2.テレワーク導入の留意点 メリット・デメリットを十分に考える


 テレワークを導入する際には,当然,メリット・デメリットがありますので下表にまとめます。

 

企業側

従業員側

メリット

・国内外問わず優秀な人材を確保
 できる
・オフィスの経費を節約できる

・通勤時間や通勤ストレスが軽減
 する
・自分の好きな場所で仕事に集中
 できる
・家事や育児・介護などと仕事が
 両立しやすい

デメリット
(共通)

・勤怠管理や評価が難しくなる
・セキュリティ対策など環境整備が必要
・コミュニケーションが取りづらい
・オフィシャルとプライベートの線引きが難しい



◆ メリット

 企業にとって人材不足が大きな問題となっており,いかに優秀な人材を確保するかが企業の大きな課題です。企業側のメリットとしては,テレワークを導入すれば,勤務地や家庭の事情で採用できなかった人材を採用することが可能になることです。
 また,テレワークによってオフィスを使う人数が少なくなれば,家賃や光熱費などのコストを抑えることもできます。
 従業員側のメリットとしては,やはりいちばんは自宅や自宅の近くで仕事ができるため,通勤時間の短縮が可能になります。通勤にかけていた時間をほかの時間にあてることができ,通勤の際に感じていた満員電車でのストレスからも解放されます。
 このように仕事とプライベートの時間の最適なバランスをとり,ワークライフバランスの向上につなげることもできます。

◆ デメリット

 テレワークは前述のようにメリットが多いのですが,一方でデメリットもあります。企業側は,従業員を24時間監視するわけにはいかないため,いつから仕事をは

じめていつまで仕事をしたのか,いつどのように休憩をとったのかなど,勤怠管理や,業務の成果などが目に見えにくくなってしまいます。
 また,機密文書や社外秘の情報のやり取りを行うには,同じ場所にいれば口頭や書類の提供で済んでいたものが,テレワークでは,そのための環境の整備が必要になります。メールであれば添付文書への自動パスワード振り分けなどを導入しなければなりません。

 テレワークを導入すると,実際に対面で会話をする機会が減ってしまいます。オフィス内でのちょっとした会話から,思わぬアイデアが生まれたり情報収集ができたりすることもあるので,そのような何気ないコミュニケーションの機会が少なくなることもデメリットの一つといえるでしょう。
 また,電話,パソコンなどがあれば,無制限に仕事を行うことができます。いつはじめてもよく,いつ終わってもよいことも多いため,仕事の切れ目がなくいつまでも仕事を続けてしまうこともあります。そうなると気分転換もできず,メンタル不調に陥ってしまう懸念も出てきます。
 そして,オンライン会議など,映像を使ってテレワークを行う際には,自宅やプライベートな空間が丸見えになってしまうこともあります。

◆ ハラスメントにならないコミュニケーション

 テレワークをする際には,お互いが気持ちよく仕事をするために,リモートハラスメントに気を配らなければなりません。リモートハラスメントとは,リモートワーク(テレワーク,在宅勤務)中に受けるハラスメントのことです。
 オンライン会議の合間などでは,相手の容姿やプライベート空間への指摘や,生活についての詮索などは控えましょう。こちらに悪気はなくても,相手が不快感を覚えるような発言は問題になりやすいので注意が必要です。
 また,相手の都合に関係なく業務時間外の対応や連絡を強要したり,業務に関する指導以外の説教をしたりといったことも,ハラスメントにあたる場合もあります。業務時間外の過度なコミュニケーションの強要など,相手が望まないことはやめるようにしましょう。

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