◆ ある結論を複数の根拠で支えるピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャーは,ある結論が正しいことを裏づけるために,それを支える複数の根拠を並べていく思考整理の手法です。頂点にある結論を下部の根拠が支える構造がピラミッド型になることから,こう呼ばれます(図表7)。
図の構造はロジックツリー(15ページの図表5)とほぼ同様ですが,論理を展開していく方向は逆になります。ロジックツリーが,ある事象を複数の要素に分解して,原因の究明や課題の解決を図っていく手法であるのに対し,ピラミッドストラクチャーは,ある結論に導くために複数のデータを集め,結論を支える根拠を組み立てていきます。ロジックツリーは,大から小へと分解していくため,上から下への展開になりますが,ピラミッドストラクチャーは,結論を支える根拠を集約していくため,下から上への流れになります。
◆ ピラミッドストラクチャーの手順
ピラミッドストラクチャーは,次の手順によって行います。
@ 結論を決める
最初に,ピラミッドの頂点にあたる結論をできるだけ正確な言葉で表します。この結論が,受け取る人によっていろいろな解釈があったり,憶測を生むようであったりしては,以後の展開もどんどん違う方向に向かっていきかねません。相手に対する主張や提案であれ,自分の頭の中の結論であれ,簡潔でわかりやすい形で表現します。「ゴールが曖昧では,その正当性を裏づけることができない」ことを強く意識してください。
A 結論を支えるための構造を考える
最終的な結論が決まったら,それを支えるための構造を考えます。この段階で重要なのは,結論を論理的に支える根拠を多方面にわたって探すのではなく,どういう根拠が効果的なのか,どういう路線で攻めていくのかを考えます。
B 情報を収集し,根拠を形成していく
論理の構造が固まったら,結論を裏づけるための情報・データを収集していきます。ここでは,Aとは異なり,ブレーンストーミングと同様,どんなことでもとにかく拾い出し,場に出します。そして,場に出した膨大な情報について,Aで考えた構造に合うようにグループ分けし,結論を支える根拠を形成していきます。この作業は,親和図法(16〜17ページ)の手法に似ています。
C 根拠を見直し,効果的な言葉で表す
結論を支える根拠が3〜4個程度にまとまったら,それらの根拠が結論と矛盾していないかをチェックし,結論の裏づけとなる最も効果的な言葉となるよう見直します。
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