数字に強いリーダーになろう

◆ 会社の状態は数値で表すことができる

 経営の問題はすべて数値で表すことができます。あなたの仕事や会社の経営が大きな外部環境の変化に見舞われているときでも,単に「大変だ」と騒ぐだけでなく,どのように仕事に関する数値が変化しているかを把握することで,これからの変化への対応策も具体的に考えることができます。数字に強いリーダーは変化への対応も早く,メンバーへの説得力も高くなります。本稿では現場のリーダーの役に立つ“損益計算書”や“貸借対照表”などの会社の数字の読み方と関連する分析指標について,演習も交えて説明をしていきます。

◆ 決算書(財務諸表)を読んでみよう

 会社の数値は決算書に示されます。決算書は一般的に財務諸表のことを指します。会社法や金融商品取引法の規定で作成が義務づけられている計算書などとは異なりま

すが,一般的には損益計算書(PL:Profit & Loss Statement)と貸借対照表(BS:Balance Sheet),キャッシュ・フロー計算書のことを指し,これらを“財務三表”と呼んでいます。
 損益計算書と貸借対照表,キャッシュ・フロー計算書の基本の構造とその関係を4ページの下の図に示しました。会社の運営に必要な資金の調達源泉を表したものが貸借対照表右側の負債・純資産の部で,集めた資金をどのように運用したかを表したのが左側の資産の部です。負債・純資産と資産の金額は同じになるため貸借対照表はバランスシートとも呼ばれます。損益計算書は集めた資金でどのように利益を獲得したかを表すものです。キャッシュ・フロー計算書は一定期間の現金の流れを明らかにしたものです。財務諸表に不慣れな方は,まずこの図の構造とそれぞれの名称を覚えてしまいましょう。

◆ 会社の業績と体質を知る

 下図に示すように損益計算書は“業績”,すなわち一定期間の収益と費用を記載し,利益または損失を表示するものです。貸借対照表はある時点(通常は決算日)の“体質”,すなわちすべての資産,負債・純資産(資本)を一覧にしたものです。

 会社の業績と体質がよいのか,問題があるのかを理解するためには,3〜5年程度の売上,利益,総資産(資産の合計額),純資産は増えているのか,減っているのかをみる必要があります。さらに同業他社との“業績”や“体質”の比較も必要です。  財務諸表は会社のホームページや金融庁ホームページ「EDINET」の有価証券報告書でみることができます。有価証券報告書には財務諸表のほかにその会社のさまざまな情報も盛り込まれています。まず,有価証券報告書を読んでみましょう。その際は,同業他社の報告書も入手し,比較してみると有効な情報を得ることができます。

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