空気を読んで早めの相談を心がけよう

◆ 事実と感情を分けて説明

 次に気をつけたいことは,「事実と自分の感情を明確に区別して伝える」です。相談を受ける側は客観的な事実と感情が混同していると,状況を正確に把握できず,どのような解決策がよいか適切な判断ができなくなってしまいます。相談する際は事実関係と自分の感情は分けて,落ちついて伝えるように気をつけましょう。
 またせっぱ詰まった状況で相談する場合には,自分のせいでこうなったわけではない,という自己弁護を強調した説明になりがちです。状況は正確に伝えなければ正しい解決策が見出せなくなってしまいます。
 次の例をみて,違いを考えてみてください。

Aさん:「お客様から機械の調子が悪いので部品交換をしてほしいという連絡が来てしまいました。その部品はまだ使えるはずなので問題ないと思うのですが,どうしても交換してくれと言われ,私はとても困っています。このお客様はこの機械についてよく知らないため扱い方が乱暴なので,壊れやすくなっているのではないかと思うのですが,どうしたらいいでしょうか?」(二重下線部は感情
Bさん:「お客様より,ご購入いただいた機械の部品交換を無償で行ってほしいという要望があります。納品時に機械の扱い方について私の説明が不十分でした。今回改めて機械の扱い方を説明したうえで,無償交換に応じたいと考えています。いかがでしょうか?」(下線部は事実

 お客様から何を要望されているか,現状を正確に伝えること,自分の感想ではなく,会社への影響(例では部品の交換費用がかかること)をきちんと伝えること,そしてなぜそれが起きたのか考えられる原因を的確に伝えること,上司が正しい判断を下せるように事実と感情を区別して伝えましょう。

◆ 上司との距離のつかみ方

 上司に相談する内容のレベル感に迷うこともあると思います。こんな簡単なことまで聞いてよいのかな,とか,重要案件で相談しなくてはならないのだが,タイミングを逸してしまい困った,とか。上司の「そんなことは自分で考えてよ」と「なんでもっと早く相談してこないの」の間で悩んでいる方もいると思います。
 上司への相談の「間合い」と「レベル感」についてみていきます。
 まず,相談の「間合い」についてです。相談に行く際は必ず相手の状況をよく見たうえでタイミングを図ります。忙しいときに「相談があるのですが」と唐突に行くよりも,「後で30分だけ時間をもらえませんか?」と言って時間を取ってもらったほうが上司も聞く準備ができるので不要なイライラを避けることができます。上司の状況をよく見て,相談するタイミングや場所,機会を考えましょう。基本的なことですが,意外と自分の都合しかみえていない人が多いようです。いわゆる空気を読んで,です。
 次に,相談の「レベル感」についてです。かかえている問題の会社に対する影響度の大きさによって,大きい相談・小さい相談に分けて考えます。会社への影響度が大きい問題はとにかく早めに相談です。自分一人で抱え込まず,常に上司を巻き込んでおくことをおすすめします。そうすることで自分のリスクヘッジにもなるし,一人で抱え込むより,気持ちも楽になります。
 一方,小さい相談は相談というより確認の意識で十分です。会社への影響度が小さい案件であれば,ある程度自分の考えを伝えて,上司の考えとギャップがないことを確かめておきましょう。
 軽い確認であれば,受ける側にとってもわずらわしさがなく,負担もありません。
 また相談のレベル感には会社への影響度の大小以外にも気をつけたい点があります。
 それは,上司と部下とでは立場も異なるため当然,視点や視野・視座が異なるということや,知識や経験,感覚にも個人差があるので,それぞれの人が持つこだわりや価値観が異なるということです。
 自分では些細なことだと感じていても,自分以外の人にとっては重要なことだったり,その逆で自分にとっては重要なことが自分以外の人から見ると些細なことだったり,ということは職場でもよくあることだと思います。
 相談のレベル感に迷ったときは口に出して伝えておいたほうが無難です。その際に「相談」という改まった方法よりも「軽い確認」で上司の様子を見ておきましょう。そのほうが結果として関係性も良くなります。気軽に伝えて反応を確かめておく,くらいの気持ちで「軽い確認」を使ってみてください。

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