5 イシューツリーとホワイツリーを理解する

◆ イシューツリー

 ロジックツリーは大きく分けてイシューツリーとホワイツリーに分類できます。イシューというのは課題または論点と訳されます。つまり課題展開したものがイシューツリーです。
 またホワイツリーはなぜなぜを繰り返し,原因追究を展開したものです。
 「課題」というのはあるべき姿や到達したい目標と現状とのギャップです。「問題」というのは当然到達していなければならない状態と現状とのギャップです(下図参照)。

  ・困ったこと,事態
  ・状況を知る情報となる

  ・目的を達成するために,
   解決しなくてはならない事項
  ・論点

 図表(13ページ参照)のロジックツリーを例にとって説明しましょう(わかりやすくするためモデルは単純化してあります)。「利益を増やす」というのは到達したい目標であり課題ですが,これを要素分解すると利益=売上−コストですから売上を増やすかコストを下げるというのが次の課題となります。あるべき姿に向かった施策ですから「〜を強化する」「〜を向上させる」といったような肯定的な表現になります。
 さらに,「売上を増やす」を分解してみると売上=販売数量×単価ですから販売数量をいかに増やすか単価をいかにあげるかがさらに次の課題となります。「コストを下げる」のほうを分解してみるとコスト=人件費+原価ですから人件費をいかに抑えるか,原価をいかに下げるかがさらなる課題となります。

◆ ホワイツリー

 一方,ホワイツリーのほう「売上の減少」を例にとって考えてみましょう。
 なぜ売上が減っているか理由を考える場合,売上の構成要素は販売数量と単価ですから,なぜ販売数量が減少したのか原因を追究します。単価は自社で決めていますから販売数の減少のほうだけ原因を考察してみます(単価については値引き合戦による故意の減少の場合もありますが,ここでは別にします)。
 原因を考える場合の視点は外部環境と内部環境が影響している場合がありますが,自分でコントロールできる範囲のヒト・モノ・カネの視点で検討してみます。

 @ 販売力が弱い(ヒトによるもの)
 A 開発力が弱い(モノによるもの)
 B 価格が高い (カネによるもの)

 @〜Bをさらに原因追究して分解していけば真の原因をみつけることができるはずです(事例では理解しやすいような項目に絞ってあります)。ここで大切なことは実証されていることだけをあげるのではなく推定でもよいからあげてみるということです。
 後述(16ページ参照)の仮説思考のところでも触れますが,分解においては実証されていることだけにとらわれるとツリーの幅が広がらずに真の原因から遠ざかってしまいます。また,イシューツリーの肯定表現と違って否定的表現になることに注意してください。
 ホワイツリーの場合,分解の回数が多ければ多いほど,より具体的な原因が出てきます。具体的な原因が出るということは具体的な解決策をつくることができるということです。製造現場ではこのホワイツリーを使って不良対策に役立てているところもあります。

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