6 ロジックツリーに習熟するコツ

◆ 習熟のコツ

 ロジックツリーの理論は,学んでもいざ実際にテーマを与えられロジックツリーを自分でつくるとなると手が動かなくなることもあります。そこで,ロジックツリーがつくれるようになるコツを紹介します。
@ とにかくツリーをつくること
 ロジックツリーに慣れるにはまずつくってみて試行錯誤することが基本にあります。
 日常生活の中でもいくつかのパターンを考えるクセをつけることが大切です。たとえば目的地まで行く経路や交通手段を複数考えてみる,あるいは仕事のやり方を何通りか考えてみるというようなところからはじめたらいかがでしょうか。分解については,まず3分割することをお勧めします。それは人間の思いつきやすい個数が3だからです。実際の分割要素は3つ以上あるケースもあるでしょうが分割するクセをつけるためにも,どんどん3分割していきましょう。

A 分解で抽象的表現を心がける
 抽象的なものから具体的な内容に分解していくので最初から細かい要素を抽出するクセをつけてしまうとなかなか大きなくくりで分割することができなくなります。意識して抽象的な表現を考えるようにしましょう。たとえば前述で出てきた交通手段を検討する場合,新幹線・特急・普通列車・高速バス・レンタカー・マイカーなどと考える前に陸路・空路・海路などとより大きな分類で分割することが望ましいわけです。
B 各要素の論理的因果関係を確認する
 水平に分解しているつもりでも,それぞれの要素が因果関係を持っているケースがあります。その場合は水平方向に展開するのではなく垂直方向に接続する必要が出てきます。

◆ ミーシーが見出せないときの対応策

 ミーシーとひと口に言っても知見がなかったり業務の引き出しが多くない人にとって要素を発想することはとても難しいことだと思います。ある程度分解できたとしてもこれだけで十分だろうか? まだほかにも要素があるのではないだろうかと迷うこともあるでしょう。いくつか要素が出てきた場合,要素どうしの共通点を抽象化することにより顕在化していない要素を思いつくことがあります。

         ・点線の部分が出てきたら似たものをまとめ,グループ名をつける
         ・グループ名からほかの要素を探す

 上記の例では「利益の増加」をテーマに要素分解をしてロジックツリーをつくろうとしたものです。慣れない方が分解すると思いつくままに点線で囲まれた要素が部分的に出てくると思います。「物流費の削減」と「原価の削減」を抽象化すると両方ともコストなので「コストの削減」でくくれることになります。その次に削減できるコストはほかにないかと考えるわけです。図では「販管費」となっていますが,思い浮かぶのが「人件費」であれば,これに置き換えることもできます。
 同様に「販売促進」「品質改善」というキーワードが出てきたら,これらをくくって売上数の増加に役立つ施策だと考えます。そして売上数の増加に役立つほかの施策はないかを考えるようにします。この思考過程の中でビジネスの公式やフレームワークが利用されることもあるでしょう。抽象化することで大きな視点に立ち返り,モレが探しやすくなると思います。

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