7 評価要素(項目)をどう理解し,解釈するか

 職務行動をどの評価要素(項目)でみていくか

 人事評価の「手順A」は評価要素(項目)の選択です。「行動の選択」によって選択された行動は,どの評価要素で評価するか「評価要素(項目)の選択」を行います。この場合,評価要素(項目)の理解が不十分だと,本来評価すべき評価要素(項目)を誤り,人事評価を歪んだものにしてしまいます。また,評価要素について評価者どうしの理解,認識が異なっていると評価の公正・公平性に対し,被評価者に不平,不満を残すことになります。
 「評価要素の選択」にあたっては,次の点に留意することが大切です。
 ・「評価要素(項目)」に示された「定義」の内容(本質)を理解する
 ・「評価要素(項目)」に対する共通認識を持つ
 ・「職能資格基準」「職務等級」「グレード」などに対応して「定義」を解釈する

 能力・意欲・成績の 3つの区分で評価する

 「評価要素(項目)」は図表10(13ページ)に例示したような「考課表」として明示されているところが多いでしょう。「評価表」は,一般職(J職種),監督職(S職種),管理職(M職種)などの職種ごとや等級(グレード)ごとに必要な評価要素(項目)がまとめられています。
 評価要素(項目)は会社が必要とするものを取り上げています。一般に評価要素(項目)数はかなりの数になりますが,整理してみると能力評価・意欲評価・成績評価の3つの評価区分になるところが多いようです。
・能力評価…仕事を遂行する上で必要な能力(知識やスキル)を評価します。保有
 能力の伸長度あるいは能力の発揮度を評価します。
・意欲評価…情意評価ともいいます。仕事に取り組む姿勢・意欲の評価です。努力
 度をみます。下位職種の場合,この評価のウエートを高くしています。
・成績評価…成果評価,業績評価ともいいます。管理者(評価者)が与えた仕事の
 結果を評価します。目標管理の達成度の評価もその一つです。

 ■ 図表12 評価要素(項目)の選択

 「能力評価」「意欲評価」は評価者の共通の認識が大事に

 「評価要素」を正しく理解することは案外難しいことです。特に,「能力評価」「意欲(情意)評価」の各項目は評価者どうしで十分に議論し,共通の認識を持つことが大切になります(図表12)。
 「意欲(情意)評価」の評価項目は一般に「規律性」「協調性」「責任性」「積極性」などの項目で構成されています。たとえば,「与えられた仕事を一生懸命やっている」という行動がみられた場合,どの評価要素(項目)で評価すべきでしょうか。この行動は基本「+」にみていい行動ですが,これを「積極性」で評価してしまうことがよくありますが,これは「責任性」でみることが妥当です。「評価要素(項目)の選択」をする場合,何よりも各評価項目の本質をとらえることが大事です。
 意欲(情意)評価は,「規律性」と「責任性」の評価が基本です。そのうえで「協調性」と「積極性」をみていきます。就業規則,服務規律などを守って,与えられた仕事をきちんとすすめているかどうかをまずみて,チームへの貢献やチャレンジングな行動をみていくというステップをとると評価しやすいでしょう。
 「規律性」はビジネスパーソンとして,できて当たり前のところを評価します。したがって,評価段階にS段階を設定しなかったり,管理職(M職種)では,そもそも評価しなかったりすることがよくあります。

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