離職に直接つながるものではない
「社員のキャリア自律度が高まると,転職意向も高まるのではないか?」という声をよく耳にします。優秀な人材の離職は企業にとって大きな損失であり,企業の本音としては社員の自律を願いながらも優秀な人材の離職は避けたいと考えるのはもっともです。果たして,キャリア自律の高まりは,社員の離職を促す主な要因となるのでしょうか。
2021年に行われたパーソル総合研究所の調査では,社員がキャリア自律しているからといって,離職に直結するわけではないことが明らかになっています。一方で市場価値が高い(と認識している)若年層の転職を促している傾向が見られました。
転職意向を抑制するポイント
では,社員のキャリア自律を高めつつ,離職リスクを抑えるにはどうすればよいか。同調査において,キャリア自律度が高く,市場価値が高い(と認識している)人材の転職意向を分析したところ,転職意向が低下する要因は,1位「昇進の見通し」,2位「やりたい仕事ができる見込み」でした。そして「やりたい仕事ができる見込み」を促進しているのは,キャリア自律度を高める要因でもある「キャリア意思の表明機会」
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