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コミット目標とストレッチ目標
OKRでは,コミット目標とストレッチ目標を明確に分け,目標(O)や主要な成果(KR)の設定に際してはストレッチ目標を設定するとされています。
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目標の内容 |
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期限内に必ず達成すると決めた目標 |
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実現したい世界を描いた野心的な目標 |
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ストレッチ目標とは,一般的には「工夫すれば手が届きそうなレベル」の高い目標を指しますが,OKRではさらに高く「自分たちが実現したい世界を描く」ための野心的な目標を設定します。そのため,100%の達成度を期待しません。70%程度の達成度でも十分に成功と考え,メンバーが既存の枠にとらわれず,斬新な解決手段や挑戦に向かうことを目的とします。期間終了後にリーダーが十分なポジティブフィードバックを行い,挑戦したことを評価することでメンバーの成長につなげます。
一方,コミット目標も,経営に関する判断を正しく行うために重要な役割を果たします。100%達成されなかった場合は,組織としてその原因を究明して次に活かします。コミット目標は,既存顧客の満足度を向上させる持続的イノベーションを生み出すのに対して,ストレッチ目標は,新製品や新サービスなどまったく新しい価値を市場につくり出す場合に威力を発揮する目標設定です。
効果的な目標設定を実現するリーダーの働きかけ
良い目標は,メンバーが「努力する価値あり」と感じ,「必ずうまくいく」と思え,「達成したい!」と他の人に話したくなります。そのような目標管理の最初のステップは「目標設定」です。目標設定を効果的に行うことで,メンバーの行動が変化し,最終的な成果に大きく影響します。リーダーは以下の3点を意識し,時間をかけて適切に関与し,メンバーの達成意欲を高めましょう。
(1)会社全体の目標の意味と関連を説明する
会社には,「当社は社会の中でどうありたいか」というパーパスや,「会社の理想の状態や将来像」を示すビジョンがあります。リーダーは,チームの目標達成が会社全体のビジョン実現にどのように貢献するかを説明し,メンバー全員に,目標の意味とチーム目標の関連性を理解させることが大切です。
メンバーの目標が,会社の目指す姿や理念に合致していれば,チームの目標達成が早く実現するだけでなく,メンバーも意味ある目標を追いかけることで充実感や貢献感が生まれて意欲的に仕事を進められます。
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・当社は社会の中でどうありたいか
・当社は何のために存在しているのか |
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・当社は将来的にどうなりたいか
・その実現に向けて,何をするのか |
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(2)重要な目標に絞り込む
メンバー個人の目標は,メンバー自身が計画したうえで,上司との対話でブラッシュアップさせる手順を踏むことが大切です。
メンバーによっては優先順位があいまいなまま,達成したい目標をたくさん掲げる人もいます。目標が多すぎると,本人の集中や関心が分散して,目標を達成しづらくなる場合があります。リーダーは,メンバーの能力や,掲げられた目標の重要度と緊急度を見極めたうえで,期間内で2〜4個の目標に集中するようアドバイスしましょう。
(3)メンバーが獲得できる成果や成長を共有する
目標設定は「上から与えられた」「やむなく決めた」ものになりがちです。メンバーも組織の一員ですから,会社としての目標があることは理解しています。その目標が,個々のメンバーにとって達成する価値があるものとするには,目標達成の際にメンバーが享受できる成果や成長について目標設定時に話し合い,メンバーの納得感を十分に高めることが大切です。
単に売上の数字を決めるのではなく,売上達成によって「商品提案のスキルが身につく」「達成賞などインセンティブが獲得できる」「営業支援の人たちの努力に報いることができる」など,達成時のメリットを具体的にイメージできるように話し合いましょう。
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