3.投資の種類と概要

主な投資先とその特徴

 投資の初心者にとっては,前述の投資に関連する基礎知識を理解するだけでも大変ですが,さらに投資先といっても数多くの種類があり,それぞれに特徴があります。ここでは代表的な投資先(運用先)である,預貯金,株式,債券,外貨預金,現物資産,投資信託の概要をまとめておきます。

1.預貯金
 普通預金,定期預金,積立定期預金などがあり,預け先の金融機関による元本保証(元本1,000万円とその利息まで)がされます。安全性,流動性(どれくらいの期間で現金に換えられるか,換金のしやすさの程度)は高いですが,収益性は高くありません。また,預金金利が物価上昇率よりも低い場合は,預貯金の実質価値が目減りする可能性(インフレリスクという)もあります。
2.株式
 株式投資は,企業の株式を購入し,その企業が成長することで株価が上昇し,それを売買することによる譲渡益や,株式を保有しつづけることによる配当金や株主優待を受け取ることができます。安全性は低くても大きな収益性を期待できるのが株式投資の魅力です。ただし,株価は会社の業績,景気,金利,為替相場,海外市場の動向など,さまざまな要因で変動し,倒産した場合は投資資金を失う可能性があるため,一般的にリスクが高い投資先といえます。
3.債券
 債券は,国や地方公共団体,会社などが発行する「借用証書」のようなもので,投資家は債券を購入することで,定期的に利子を受け取ることができ,満期日を迎えれば額面金額を受け取れます。リスクは株式より低いものの,満期まで保有せずに途中売却する場合は,価格が下がるなどの「価格変動リスク」があります。また,購入した債券について,元本の払い戻しなどが約束通り行われないなどの「信用リスク」があります。

投資の種類と特徴

運用方法

メリット

デメリット

 預貯金

 安全性が高く確実

 利回りが低い ※インフレリスクあり

 株式

 資産価値の上昇や配当金が期待できる
 譲渡益と配当金を得る機会

 投資リスクが高い

 債券

 安定した利息収入が得られる

 信用リスク
 価格変動リスク(途中売却の場合)あり

 外貨預金

 為替差益プラス海外の金利を狙える

 為替リスクがある(通貨を円に替えるとき
 など)

 現物資産(金)

 存在量に限りがあり無価値にならない

 資産価値の変動リスク ※利息や配当を
 生まない

 投資信託

 分散投資によりリスクを軽減
 プロによる運用
 安全性,収益性,流動性のバランス

 運用報酬がかかる
 価格変動・信用リスク(組み入れ資産に
 よる)

※預貯金や債券の利回りは,そのときの金利水準に影響を受ける。金利が高いほど,預貯金や債券の利回りも高くなり,
 金利が低い場合には,利回りが低くなる。

4.外貨預金
 外貨預金とは,日本円ではなく外国の通貨で預金をすることです。外貨預金のメリットは,円預金よりも高い利息(海外の金利水準)が受け取れることや,為替差益が得られることです。しかし,外貨預金は為替レートの変動によって元本割れするリスクがあること,日本円と外貨の交換に手数料がかかることなどがデメリットです。外貨預金は,仕組みがわかりやすく投資初心者でも始めやすいといえますが,注意点やリスクを理解した上で投資を行う必要があります。
5.現物資産(金)
 金投資は,信用リスクがなく,インフレに強く,世界共通の価値基準を持つのがメリットです。デメリットは,金の取引は米ドルで行われるため,円建て価格は為替の影響を受けることと,預貯金や株式と違い,利息や配当を生まないことがあげられます。金の価格は長期的には上昇傾向にあるものの,短期的には大きな変動があります。初心者の金投資の手法として,月々少額から始められる純金積立があります。
6.投資信託
 投資信託は,複数の投資家から集めたお金をまとめて,資産運用の専門家が株式や債券,不動産など複数の投資先を分散・組み合わせたポートフォリオを構成し,その運用の成果(利益)を投資家に還元する商品です。投資信託は,安全性を重視したものから収益性を重視したものまでさまざまな種類があり,組み入れる資産(投資先)のリスクを内包します。ただし,投資先の分散によるリスク低減効果も期待できるため,投資信託は初心者でも投資しやすい運用先といえるでしょう。

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