6.若手に100%の力を発揮させる主な要因は「心理的安全性」

ここなら安心と思えるチームづくり

 みなさんは,新入社員だった頃を覚えていますか。出社初日,または研修が終わって各部署に配属されたその日,多くの人は次のような気持ちを抱いたはずです。
 「先輩や上司が怖い人でなければよいのだが」「仕事内容がまったくわからないが,やっていけるのか」「ミスをして使えないヤツ扱いされたらどうしよう」――未知の世界に飛び込むのですから,新入社員が大きな不安を抱くのも当然です。
 ところで,私たちがチームとして働くうえでもっとも重要な要因は何でしょうか。
 Google社が2012年に立ち上げたプロジェクトで,「生産性の高いチームはどのようなチームか」について調査・分析したところ,ある要因が圧倒的に重要であると結論づけられました。それが「心理的安全性」です。
 心理的安全性とは,組織やチーム全体の成果に向けた,率直な意見,素朴な疑問,そして違和感の指摘が,いつでも誰でも気兼ねなく言えることを指します。それは「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」の4つのキーワードが満たされて

いるか否かで測ることができます。心理的安全性が保たれているチームは離職率が低く,収益性が高い。そして,個々人がさまざまな面で尊重されているのでモチベーションにも直結し,前項で紹介したワーク・エンゲイジメントを高めることもわかっています。


職場の心理的安全性を測定してみよう

 心理的安全性という言葉を聞くだけでは,さほど重要には思えないかもしれません。また,自分がすでにリーダーとして実績も経験も十分で,直近の業績もよけれ

ば,ことさら職場の心理的安全性を意識することもないでしょう。しかし,メンバーが職場で発言をしたときに,拒絶されたり非難されたりするのが常態化しているようなら,彼らは十分なパフォーマンスを発揮しなくなり,やがてチームの生産性は低下するでしょう。
 また,業務上の失敗なども報告しにくい雰囲気となり,トラブルやクレームの対応が遅れたり,業務の改善がすすまなかったりするリスクも生じます。
 では,あなたの職場は,心理的安全性が“誰にとっても”保たれている場所でしょうか。ベテランや役職者ばかりが安穏としていて,若手や異動したてのスタッフが萎縮したりしていないでしょうか。
 それを確かめるために,上記の記入例を参考にして,みなさんの職場の心理的安全性も測定してください。表の4つの軸に100点満点でそれぞれ何点になるか打点し,4つの点どうしをつなげます。
 話しやすい職場か,助け合っている職場か,チャレンジ精神を尊重する職場か,そして新しく見慣れない人やアイデア,手法を受け入れて面白がる土壌はできているか。特に点数の低かった項目を重点的に改善していくことが,職場の心理的安全性だけでなく,生産性を高めていくことに直結します。

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