8.サーキュラー・エコノミー

 リニア・エコノミーからサーキュラー・エコノミーへ

 近年,欧州を中心に浸透し,日本でも関心が高まりつつあるのが「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」です。採って作って使って捨てる「リニア・エコノミー(直線型経済)」から,作って使って新品に戻す循環型の経済に変革していく,というのが基本的な考え方です。現段階で,サーキュラー・エコノミーの統一化された定義はありませんが,図表12の考え方が比較的よく使われています。
 類似の概念として,いわゆる3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みがありますが,3Rも廃棄物の抑制や再利用・再資源化を目指している点では共通しています。一方,サーキュラーエコノミー・ジャパン代表の中石和良氏によれば,サーキュラー・エコノミーはこれらに加え,循環を前提とした製品を開発・生産すること,自然の保護・復元を目指すこと,経済や金融なども含む社会システム全体の循環を促す形に変えていくこと,という点で違いがあるようです。

 サーキュラー・エコノミーで“無駄を価値に”

 ビジネスにおいては,これまで最終的に廃棄していた資源を再利用することで,残存価値を再び享受できるようになることに大きな意義があります。これにより,

バリューチェーン全体での資源生産性が高まるため,常に外部から資源調達をする場合と比べ,企業は調達コストを削減でき,かつ,将来懸念される原材料の価格変動リスクや枯渇リスクを低減することもできます。
 また,サーキュラー・エコノミーをビジネスに取り込んだモデルの特徴として,新たなビジネス形態との相性がよいこともあげられます。カギとなるのは,使い終わった製品を回収・再資源化するプロセスをどう効率的に運用できるか,という点であるため,回収・再資源化しやすくなる,あるいは量を減らすことができる仕組みとは,相性がよいといえます。
 具体的には,「サブスクリプション形式で製品を提供することで,自社が所有権を維持しつづける」ことにより,使用後の製品の追跡・回収は容易になるでしょう。また,「シェアリングによって製品をみんなで使いつくす」ことができれば,全体として必要となる製品や資源の量を減らすことができ,再資源化の道を描きやすくなります。
 加えて,循環型モデルの構築と強化に向けては,そもそも循環しやすい製品を開発・生産する「サーキュラー・デザイン」という考え方も大切です。サーキュラー・エコノミーの実現に向けては,バリューチェーン全体で,循環型モデルへの移行を目指すことが重要です。
 サーキュラー・エコノミーや循環型モデルは,単に環境保護につながるのみならず,ビジネスの競争力を高めて持続的に成長するという,企業の本質的課題に対する1つの答えにもなりえます。ビジネスを通じて利益を得るのと同時に,社会の循環性・持続可能性の向上にも貢献する,というのが今後の企業の理想像となるでしょう。

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