1.健康状態の指標となる数値をチェック ―― 注意すべき検査項目


◆ 見逃しがちな病気の兆候をチェック

 みなさんは毎年,健康診断をしっかりと受けているでしょうか。健康診断は未然に病気の兆候を探る目的で行われますが,検査結果が基準値を上回っていても多忙で治療を受けていないケースが少なくありません。健康問題で生活や仕事に支障が出ないように,生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)を中心に見逃されがちな病気の兆候を確認していきましょう。

◆ 高血圧の診断基準(血圧測定)

 高血圧の診断基準は図表1のとおりで,T度高血圧以上が治療の対象となります。具体的には収縮期血圧(以降,最大血圧)が140mmHg以上,拡張期血圧(以降,最小血圧)が90mmHg以上で高血圧と見なされます。なお,これは医療機関の診察室で測定した血圧をもとにした診断基準です。家庭ではリラックスして血圧が下がりやすいため

,最大血圧135mmHg以上,最小血圧85mmHg以上で高血圧となります。

◆ 糖尿病の診断基準(血液検査)

 糖尿病は,空腹時血糖値が126mg以上(図表2を参照),75g経口ブドウ糖負荷試験が200mg以上,ヘモグロビンA1c(1〜2ヵ月間の血糖値の推移を示す指標)が6.5%

以上で治療が必要な糖尿病型と判定されます。健康診断では空腹時血糖値,ヘモグロビンA1cが測定され,糖尿病型と判定されたら医療機関で再検査することになります。


◆ 脂質異常症の診断基準(血液検査)

 血液中には,LDL(悪玉)コレステロール,HDL(善玉)コレステロール,トリグリセライド(中性脂肪)などの脂質があります。脂質異常症はいくつかのタイプに分かれ,悪玉コレステロールが140mg以上の場合は高LDLコレステロール血症,

善玉コレステロールが40mg未満の場合は低HDLコレステロール血症,トリグリセライドが150mg以上の場合は高トリグリセライド血症と判定されます。


◆ 腎機能,肝機能の検査について(血液検査)

 ほかに,血液検査の項目で注意してほしいのが腎機能を表すeGFRと,肝機能を表すAST(GOT),ALT(GPT),γ−GTPです。まず,eGFRが59ml以下になると慢性腎臓病の治療が必要となり,15ml未満になったら人工透析が必要になります。次に,AST(GOT)が39IU以上,ALT(GPT)が45IU以上,γ−GTPが男性80IU以上,女性30IU以上で肝炎,肝硬変,肝がんの疑いがあるので,再度,受診して医師の指示に従ってください。

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