4.上司も気持ちよく快諾する依頼のワンフレーズ


◆ 依頼の前にクッション言葉で地ならしする

 日頃から物を頼みづらい上司に面倒な依頼をする場合でも,言い方に心配りを添えれば,何やかやと言われても引き受けてくれるものです。失礼のないスマートな頼み方をいく通りか知っているだけで,気難しい上司とのやり取りもかなりらくになるので,知っておいて損はありません。
 依頼の本題に入る前に,ひと言添えておきたい,ていねいな声かけを覚えておきましょう。以下のフレーズは,一般に「クッション言葉」と呼ばれています。

相手に手間をかけてしまう場合

親しくない相手に依頼する場合

 お忙しい中,恐縮ですが

 不躾なお願いで恐縮ですが

 ご多用のところ恐れ入りますが

 誠に厚かましいお願いではございますが

 お手数(ご面倒)をおかけしますが

 勝手を申し上げて誠に恐縮ですが

急な依頼を持ちかける場合

依頼を何度も繰り返す場合

 急に(突然)ご無理を申し上げて恐縮ですが

 たびたびお手数をおかけしまして恐縮ですが

 差し迫ったお願いで恐れ入りますが

 何度もご迷惑をおかけして申し訳ありません
 が

 突然のことで誠に恐縮ですが

 重ね重ね恐縮に存じますが

 こうしたクッション言葉を最初に添えると,目上の人に貴重な時間と労力を割かせてしまって申し訳ない,という気持ちが相手に伝わります。その結果,お願いや相談事も難なく聞き入れてもらえる可能性が高まります。状況によって前後の表現が多少違ってくるものの,基本形の「恐れ入りますが」「恐縮ですが」「お手数(ご面倒)をかけますが」のいずれかを,依頼の言葉とセットで使うといいでしょう。

◆ 相手に伺いを立てるのが基本形

 クッション言葉で地ならししたら,本題の依頼の言葉に入ります。依頼の事例ごとに悪い例と良い例をみていきましょう。

●仕事中の上司に話しかけるケース

 × ちょっとすみません

 ○ いま(1分ほど)お時間をいただいてよろしいでしょうか

 伺いを立てる形にして,時間の目安がつくならつけ加えます。

●休みを願い出るケース

 × 明後日,休みたいのですが

 ○ 明後日,お休みを取りたいのですが,よろしいでしょうか

 このケースも,上司の意向や都合も伺う形にします。

●書類をチェックしてもらうケース

 × 企画書を見てもらえませんか

 ○ 企画書を作成いたしましたので,お手すきのときにでもご覧いただけないでしょうか

 このほかに「お目通し願えないでしょうか」も使えます。

●時間の猶予を願い出るケース

 × 提出期限をもう少し待ってもらえますか

 ○ 誠に申し訳ございませんが,期限より2日ほどご猶予をいただけないでしょうか

 遅延したことへの謝罪をしたうえで,あと何日必要なのかスケジュールを伝えます。

●他社への同行を依頼するケース

 × 明日,△△商事に同行してください

 ○ 明日,△△商事の打ち合わせにご同行願いたいのですが,14時から1時間ほ
   どお時間をいただけますでしょうか

 場所や日時をしっかり伝えるとともに,上司が時間を取れるか確認します。

●念押しや確認を求めるケース

 × あの事案はすすめても大丈夫ですか

 ○ 織り込み済みかと存じますが,先日の事案は進行してもよろしいでしょうか

 「織り込み済みかと〜」で,お忘れでないことは承知している,と相手を立てます。

●協力の依頼をするケース

 × できれば手伝ってもらえませんか

 ○ お願いするのは忍びないのですが,何とぞお力添えをいただけないでしょうか

 「忍びない」で心苦しさを伝えて,目上の人に使う「お力添え」で協力を請います。
 上記例文は,最初に紹介したクッション言葉と合わせて使うと効果的です。状況に応じて組み合わせてください。

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