リーダーシップとは何か

 課長や係長などの肩書きがあれば,リーダーシップを発揮できるわけではありません。リーダーシップとは何かを理解したうえで,組織がめざす目標,組織の状況やメンバーの特徴を把握し,メンバーの心を一つにまとめてこそリーダーシップの発揮が期待できるのです。また,リーダーシップを効果的に発揮するには,フォロワー(メンバー)のあり方も大切なポイントとなります。

(1) リーダーシップとは

 リーダーとリーダーシップは,言葉は似ていますが意味は異なります。リーダーは,まとめ役であり,具体的な人物,役割名を指します。リーダーについてドラッカー(Peter Ferdinand Drucker,1909-2005年)は「目標を定め,優先順位を決め,基準を定め,それを維持する者」(ドラッカー『プロフェッショナルの条件』(上田惇生)ダイヤモンド社,pp.184-185,邦訳2000)と述べています。
 リーダーシップはメンバーに目標達成を促すよう影響を与えるリーダーの機能,すなわちメンバーの気持ちを一つにまとめることをいいます。リーダーシップについて「リーダーシップとは,組織の使命を考え抜き,それを目に見える形で明確に定義し確立すること」とドラッカーは前掲の書で述べています。言葉を換えれば,リーダーシップとは,組織目標達成に向け,メンバーを評価・処遇し,資源を使い,業務とメンバー(フォロワー)のスキルを統合することです(図表2)。


(2) フォロワーシップとは

 組織など集団には,リーダーとともに,リーダーに従う人たち(メンバー)が存在します。この人たちをフォロワーといいます。
 フォロワーのリーダーに対する影響力のあり方がフォロワーシップです。リーダーが努力するだけでは強いチームはつくれないでしょう。フォロワーが,リーダーからの指示を,口を開けて待っている組織ではチームが機能しているとはいえません。フォロワー一人ひとりが,自分の役目を自覚し責任を果たしてこそ,強いチームといえますし,こうしたフォロワーシップが発揮されてこそ,チームが機能するのです。

(3) リーダーシップにおける動機づけ

 リーダーシップは,組織活動に変革をもたらし,活気あふれる行動を引き出す動機づけが不可欠と考えられます。コッター(John Paul Kotter,1947年-)は,「ビジョンを達成するため,動機づけ」「変革を阻む大きな障害があろうと,皆を正しい方向へ導き続ける」「ビジョンを達成していくために」は,「エネルギーを爆発させる必要がある」(コッター『第2版リーダーシップ論』(黒田由貴子他)ダイヤモンド社,pp.43,邦訳2012)と述べています。

 チームの成長に向け,リーダーはフォロワーを動機づける必要があります。それには自らの意志で積極的に変化する内発的な動機づけ(図表3)が大切です。フォロワーが従わない場合に,罰や人事考課をちらつかせるなどによって人を動かそうとする外発的動機づけでは,組織はまとまりません。フォロワーの状況を踏まえた内発的な動機づけが大切です。

図表3 内発的動機づけ,外発的動機づけ

内発的動機づけ

外発的動機づけ

 意欲を燃やし行動を起こす(心のスイ
 ッチをオン)

 意欲を出させる。行動を起こさせる

例:達成感,有能感

例:叱り,褒め言葉

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