10 演習 プレゼンテーションの場面をシミュレーション

 実際のプレゼンテーションの場面をシミュレーションしましょう。

 設問1  このような商談のはじめには,どんな話をすべきでしょうか。また,その話が,この後の商品提案の話をすすめるにあたり,どんな効果をもたらすでしょうか。
 設問2  商談において,話を相手にとっての「自分ごと」にするという意味でも,絶対に欠かせないことはどんなことでしょうか。
 設問3  この商談において,「飽きさせない」「印象に残る」ための工夫として考えられることは,どんなことでしょうか。
 設問4  商品提案をすすめていくうちに,まずは取引先の販売担当者が,商品のデザインに関して非常に強い興味を示してくれました。一方で,店長は良くも悪くもない印象です。この状況をどう思いますか。また,この後どんなことを心がけますか。
 設問5  この商談において,取引先を商品採用に導くためのステップとして,「AIDA(アイダ)」のステップに沿って,話の大筋を考えてみてください(「Attention:注意を引く」「Interest:興味を持つ」「Desire:欲求する」「Action:行動する」)。

 設問1  今回の発表会の目的として,発表会の後に,社員にどうなってほしいでしょうか。
 設問2  発表会当日の外見(服装,表情)は,どんなことを意識しますか(「〜な雰囲気」といった大まかな方針レベルで結構です)。
 設問3  発表会で使用するスライドではどんなものを見せたいでしょうか。また,紙資料をつくる際に注意すべき点はどんなことでしょうか。
 設問4  発表内容を,ごく簡単に5項目前後に構成してみましょう(見出しレベルで結構です)。

 設問5  このリーダーはかなりのアガリ症で,本番当日を心配しています。どのように考えて,本番当日を迎えればよいか,アドバイスを考えてみましょう。

 解答の例と考え方 
 プレゼンテーションには絶対的な正解はないため,以下はあくまでも解答例です。

ケース1
取引先との商談

 設問1  商談のはじめには,お互いの緊張を解きほぐすべく,雑談を交わして和む「アイスブレイク」が不可欠です。挨拶や自己紹介をしつつ,取引先のことも聞き出しながら,本題に入るウォームアップをします。取引先があなたの人物を理解し,あなたの話を理解し,信頼しやすくなる,また,あなたが取引先のことを理解し,取引先が聴きたい話をできるようになる,などの効果が得られると思います。
 設問2  商談で欠かしてはならないのは,「お客様のニーズを聞き出し,それに応えていく」ことです。お客様の困っていること,欲しがっているもの,経営上の課題,などをしっかりと聞き出して,それを解決するような提案をしなければ,商談は成立しません。取引先のニーズや質問もまったく聞こうとせず,準備してきた台本どおりに,一方的に提案の話を続けていくと,取引先の信頼を失うことになるでしょう。
 設問3  アパレル洋品ですので,当然,実物を持参しないようでは,取引先にやる気を疑われてしまいます。実物を見て,触っていただき,商品の質をご自身で実感していただきます。同行する若手社員にその商品を着せて取引先に見せる,可能であれば,取引先のどなたかに試着していただく,というアイデアも面白いと思います。
 設問4  販売担当者にウケたのは,喜ばしいことですが,商品採用の最終承認者である店長を説得しないと商談は成立しません。店長のニーズや興味を探り,それに応える条件を提案して,店長の説得に努めましょう。それに加え,好意的な販売担当者の興味をさらに高め,販売担当者に店長を説得させるように仕向けるのもよい工夫です。
 設問5  Attention注意を引く「若い女性のお客様を増やしたいお店におススメ!」
       Interest興味を持つ「パリで若者に人気のデザイナーの新作です」
       Desire欲求する「既に販売中の銀座の某百貨店では即日売り切れ!」
       Action行動する「いまなら在庫十分,さらに仕入価格25%offでご提供!」

ケース2
大会場での全社員対象の発表会

 設問1  会社が利便性や世間での認知を向上させるために行う,前向きな理由による晴れ晴れしい移転ですので,社員にはその移転を喜び,新しいオフィスでの生活が楽しみで,ワクワクした気持ちになってもらいたいと考えます。一方で,使い慣れた環境を離れることで不便や支障が生じないかと不安になる社員もいますので,その不安を取り除くことも大切です。このようなことを目的として発表会を構想します。
 設問2  全社員対象の発表会であり,オフィス移転は会社にとって非常に喜ばしいビッグイベントになります。社員には新しいオフィスに対して新鮮で豪華な印象を持ってもらいたいところです。それに相応しい外見の方針としては,「特別感」「晴れ晴れしさ」「新鮮さ」「ゴージャス感」といった感じを意識するとよいと思います。服装は,日頃の業務時よりはフォーマル度をあげ,清潔感を非常に重視します。そして,服装の色や本番時の表情では,明るい喜ばしい雰囲気を出せるように努めましょう。
 設問3  スライドの特質は,視覚に強く訴えインパクトを与えること,です。移転予定地および現地付近の写真や,できれば動画も用いて,その場所の便利さや楽しさを社員に印象づけます。また,オフィスの完成予想図などあれば楽しいでしょう。紙資料に関しては,新オフィスのイメージを貧相にしてしまわないよう,紙質や印刷の質に十分注意しましょう。予算等の関係で,画質が良くない紙資料になりそうであれば,ビジュアル情報はスライドに任せ,紙資料は文字情報のみにしましょう。
 設問4  筆者であれば,@「移転計画の概要の発表」A「移転の理由・目的」B「移転の具体的なスケジュール」C「質疑応答」D「エンディング:社長の移転に向けての抱負など」といった構成を考えます。「PREP法」の応用形です。終盤に結論を繰り返しつつ,移転に向けて士気を高めるような工夫をすることがポイントだと考えます。
 設問5  「緊張したほうが,ビッグイベントな感じがしてよい」と考えて,心配せずに緊張しましょう。逆に,やたらリラックスした司会ぶりでは移転の特別感が伝わりません。あるいは,今回の移転計画を,あなた自身が喜び,これを社員に伝えることにワクワクしましょう。発表することが楽しみになれば,緊張も和らぎます。

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