7 目標利益達成のための諸施策@(売上高の増加)

◆ 売上高の増加による利益の増加

 売上高の増加に伴う利益の増加を,具体的な事例で考えていきましょう。

 演習1 

 A社の先月の経営成績は,売上高:5,000万円,変動費:2,000万円,固定費:2,500万円,利益:500万円でした。先月の損益分岐点売上高および損益分岐点比率を求めてください。
 次に,今月,販売数量が10%増加して,売上高が10%増加するとすれば,利益はどれだけ増加するでしょうか。また,今月の損益分岐点売上高および損益分岐点比率を求めてください。

【解答】
 (先月)
   売上高:5,000万円

   変動費:2,000万円 ➡ 変動費率:

2,000万円
―――――
5,000万円

=40%

   固定費:2,500万円
   利 益: 500万円

   損益分岐点売上高:

2,500万円
―――――
 1−40%

≒4,167万円

   損益分岐点比率:

4,167万円
―――――
5,000万円

≒83%

 (今月)
   売上高:5,000万円×110%=5,500万円(+500万円,+10%)
   変動費:5,500万円× 40%=2,200万円(+200万円,+10%)
   固定費:2,500万円(変化なし)
   利 益:5,500万円−(2,200万円+2,500万円)=800万円
       (+300万円,+60%)

   損益分岐点売上高:

2,500万円
―――――
 1−40%

≒4,167万円(変化なし)

   損益分岐点比率:

4,167万円
―――――
5,500万円

≒76%(−7ポイント)

【解説】
 今月の売上高は,5,500万円へと500万円増加します。変動費率は40%ですから,変動費は,2,200万円に増加し,総費用は4,500万円から4,700万円へと200万円増加します。
 この結果,利益は,500万円から800万円へと300万円増加します。売上高の増加率は10%ですが,利益の増加率は60%にも上ります。
 なお,損益分岐点売上高は,変化の要素を含まないため,先月と変わりません(図表10)。

            図表10 売上高の増加による利益の増加


◆ 売上高の増加策

 売上高を増やすためには,製造部門では高付加価値化や品質向上などにより販売単価の引上げを目指すこと,営業・販売部門では営業力強化や新規ルート開拓などにより販売数量の増加を図ることが重要です(図表11)。

                  図表11 売上高の増加策の例

売上高の増加策

販売単価の引上げ

高付加価値化

品質向上

販売数量の増加

営業力強化

新規ルート開拓

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