3 損益分岐点分析では限界利益が急所(限界利益)

◆ 限界利益とは

 売上高から変動費を引いたものを限界利益といいます。5ページに示した数式を再掲します。
      「売上高−変動費=限界利益=固定費+利益」(
 式の左側は,「限界利益=売上高−変動費」ですが,「限界利益=費用+利益−変動費」なので,「費用=変動費+固定費」であることに注意して変形すれば,「限界利益=固定費+利益」となり式の右側を導くことができます。
 つまり,限界利益の意味は,固定費を賄えるだけの利益であることがわかります。
限界利益と固定費との関係は,次の3通りが考えられます。

 @ 限界利益>固定費:利益が発生している状態
 A 限界利益=固定費:収支トントンの状態
 B 限界利益<固定費:損失が発生している状態

 このうち,Aが損益分岐点です。文字通り損失と利益がトントンの状態です(図表6)。

売上高

売上高

売上高

損失

費用

利益

費用

費用

売上高

売上高

売上高

損失

変動費

固定費

利益

変動費

固定費

変動費

固定費

限界利益

限界利益

限界利益

@ 利益が発生している状態     A 収支トントンの状態     B 損失が発生している状態

                図表6 限界利益とは

◆ 限界利益確保の重要性

 固定費は,売上高がゼロでも発生する費用ですが,賃金,賃借料,減価償却費など,会社の存続にとって必要不可欠なものであるため,固定費を賄えるだけの利益を確保することが大前提となります。つまり限界利益の確保は,会社存続のために必要な最低限の条件,ということになります。

◆ 限界利益率

 売上高に占める限界利益の割合を限界利益率といいます。損益分岐点分析をおこなううえで,限界利益率は重要ですから,しっかりと覚えてください。

 なお,売上高に占める変動費の割合は変動費率,同じく売上高に占める固定費の割合は固定費率です。これらも一緒に覚えましょう。

 また,「限界利益=売上高−変動費」から,

限界利益
――――
売上高

=1−

変動費
――――
売上高

となり,

が導かれます。

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 なぜ「限界利益」というのか

 「限界利益」の言葉からは,「利益の限界」,つまり「これ以上利益が出ない状態」を想像してしまいますが,まったく違います。英語の“marginal profit”をそのまま和訳したために「限界利益」という言葉になったのです。“margin”には「限界」の意味もありますが,ここでは「原価と売価の開き,利ザヤ」の意味が適切です。日本語でも「マージン」という言葉はよく聞くと思います。「限界利益」という言葉は,初心のうちは,あまり意味に拘泥しすぎずに,そのまま覚えたほうが得策です。

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