3 事実をとらえる現状把握のフレームワーク


◆ 事実にもとづいて現状を把握する

 目標達成に向けた行動をとるうえで,事実にもとづいて現状を把握することはとても大事です。できるリーダーは,常に問題意識を持って現場を観察しています。現場・現物・現実の「3現主義」で現状を分析し,問題を発見しています。
 いくらよい目標を設定しても,その目標を達成するためには,できることとできないことを冷静に判断しなければなりません。「何ができるか」「何ができそうか」について,環境や与えられた条件(人・モノ・カネ・情報など)を整理し,「できること」に絞り込んでいく必要があります。
 現状把握は「事実」を「データ」化しそれに解釈を加え,「情報」として整理していく一連の論理的思考が大事です。そのためにいろいろな方法が考えられています。フレームワークの一例を示します(図表5)。


◆ SWOT分析のすすめ方

 複雑な問題にアプローチするときに,原因追究・因果関係・仮説検証等,さまざまな角度から分析して問題を構造化する必要があります。その代表的なフレームワークの一つにSWOT分析があります。企業の経営環境を分析する代表的な手法です。会社や部門の経営課題を明らかにしていくために,論理的な筋道を追っていく分析法で,SWOTとはStrength(強み),Weakness(弱み),Opportunity(機会),Threat(脅威)の頭文字をとったものです(図表6)。

■分析すべき内容(内部環境要因と外部環境要因)
 内部環境要因とは,原則として自部門にある経営資源(人,モノ,カネ,情報,時間)についての特徴的事項の記入となります。使命や役割に影響を与える社外の状況(予想される事実)は,外部環境要因として下半分の欄に記入します。ここでいうところの「外部」とは,原則として社外を指しますが,社内においても事業部が異なるなど自部門との関係が弱い場合や,労働組合などに関連する事項などコントロールが利きにくい場合は外部環境要因としてもかまいません。

■各要因のプラス面とマイナス面の判断
・強みとは:内部環境要因において,業界や他部門と比較してその水準が高いと思われ
 る事項。あるいは,外部環境要因における機会を生かしきる能力や脅威を克服する能
 力があると思われる事項
・弱みとは:上記「強み」の反対となる事項
・機会とは:外部環境要因において,現在の状況がこのまま続いたら自社にとってメリ
 ット,ビジネスチャンス,追い風になると考えられる事項
・脅威とは:外部環境要因において,現在の状況がこのまま続いたら自社にとってデメ
 リット,リスク,逆風になると考えられる事項

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