4. 仕事を任せるための“適切な指示”とは

 前章で述べたとおり,仕事を任せる際,適切な指示を行うことができるかどうかは,任せ方の有効性を大きく左右します。いうまでもなく,初期動作としての指示があいまいでは,指示されたメンバーは任された仕事を円滑にすすめることはできません。
 それでは,“適切な指示”とは,どのような指示を指すのでしょうか。必ず行うべきことは,「目的」「目標」を相手が理解できるように伝えることです。

 目 的…その仕事を「何のためにやるのか」という,仕事を行う理由や背景に関す
     る事柄を指す
 目 標…「いつまでに,何を,どこまでやるのか」という,仕事のゴールや到達地
     点を指す

 一方で,仕事を任せた以上,具体的な方法については,基本的には,メンバー自身の裁量にゆだねます。しかしながら,任せた相手がその仕事に関する経験が浅かったり,未経験だったりする場合には,メンバー自身,必ずしも具体的なやり方が理解できているとはいえません。こうした場合には,任された仕事をメンバーが自ら主体的にすすめられる程度まで,仕事のやり方をあらかじめ説明しておく必要があります。

◆ 目的を伝える意味

 このように,適切な指示を行うための基本動作として,任せる仕事の目的と目標を明確に伝えることは不可欠です。その際,特に忘れてはならないのは,仕事の目標だけでなく,目的をしっかりと理解してもらうことの大切さです。
 たとえば,メンバーに仕事を任せる際,「来週の月曜日までに,○○に関する情報を調べ,A4用紙3枚にポイントをまとめてほしい」と,目標だけを伝えた場合を考えてみましょう。指示されたメンバーからすると,「その書類が何のために使われるのか」という目的が明らかでないと,情報の検索やまとめにおいて,何に留意してすすめればよいかわかりません。その結果,できあがった書類が的を外れたものになってしまう可能性もあります。
 また,目的が明かされずに,やるべき仕事の内容だけを伝えられると,やらされ感が先

立ち,意欲も削がれがちになります。たとえば,「来週木曜日に行われる○○に関する幹部会議資料作成の基礎データとして活用するため」といった目的が示されていれば,メンバーのやる気も高まり,目的にあった工夫の余地も生まれてくるでしょう。
 目標を伝えなければ,相手が何をやればいいのか理解できないので,仕事を任せる側は,多くの場合,目標はしっかりと伝えます。しかしながら,目的の伝達については時間と手間がかかるため,ついついおろそかにしがちです。同時に,「わざわざ目的まで言わなくても,日ごろのやりとりからメンバーはわかっているだろう」と思いがちでもあります。だからこそ,目標だけでなく,目的を伝えることについては,強く意識しておきたいところです。

◆ メンバーにとってのメリットを伝える

 仕事の指示について,もう1つ加えておきたい点は,その仕事を,“そのメンバーに任せる”ことの目的を伝えることは,本人の意欲を大きく高めるために役立つということです。たとえば,「今回の仕事は,あなたの今後のキャリアで重要となってくる情報収集スキルを鍛え,情報をまとめる力を伸ばすうえで効果的だから,この点も意識しながら取り組んでほしい」など,本人にとってのメリットを伝えることができれば,メンバーは大きく動機づけられることでしょう。
 繰り返しになりますが,仕事を任せる際には,目標(いつまでに,何を,どこまでやるのか)と目的(何のためにやるのか)を明確に伝えることが基本です。そのうえで,必要に応じて,やり方の説明を行うことを心がけていきましょう。

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