6. 成功/失敗したとき,どんな言葉をかけたらよいか

 若手のメンバーには,OJT(On‐the‐Job Training),すなわち実際の仕事をとおして,「成功」もしくは「失敗」をさせながら育成をしていると思います。じつは,このときの言葉のかけ方次第で,彼らのやる気を削いだり,高めたりするのです。

◆ 成功したときは,努力したプロセスをほめる

 スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック氏は,若手のメンバーが成功したときは「特性」ではなく,「努力して成し遂げたこと」をほめるべきだとしています。
 たとえば,目標の営業数字を達成したとき,
 「期待どおりの成果を出すなんて,君は優秀だ」
 「さすが○○大学出身だ。頭の回転が速い」
 「君はきっとわが社の将来を担う人材になると,人事も評価していたよ」

のように,その若手のメンバーの特性をほめていたら,それは間違いです。なぜならば,成長意欲が損なわれ,それ以上努力しなくなるからです。
 よってここで伝えるべき言葉は,

「一生懸命に取り組んだからこそ,目標を達成できたんだ。すごいぞ」
「すばらしい。目標を達成するために,どんな工夫をしたのかな?」

など,そのプロセスに対してほめるべきなのです。


◆ 失敗したときは,失敗から何を学んだのかを引き出す

 次に,若手のメンバーが失敗したときには,どんな言葉をかたらよいのでしょうか。成功したときと同様に,ドゥエック氏はここでも言葉を間違うと,彼らの成長を止めてしまうと指摘しています。つまり,失敗したときには「失敗から何を学ぶべきか,将来成功を勝ち取るには何をしなくてはならないか」を問うべきだとしています。
 たとえば,目標の営業数字を達成できなかったとき,
 「達成できる人もいれば,できない人もいる。そんなに落ち込まなくてもいいよ」
 「担当エリアの取引先との相性が悪かったのかもしれないな」
 「君はもっとできる才能があるはずだと私は思う」

のように,その若手メンバーを傷つけないようにしていたら,それは間違いです。もちろんそのときは,落ち込まなくてもすむでしょう。しかし,長い目で見た場合にはよくありません。1つめの言葉がけでは,仕事を軽く考えてしまうかもしれません。2つめでは,失敗からの学びを受け取れません。また3つめのように,営業数字は才能によるものだとしてしまうと,なかなか数字が上がらない場合に「自分には才能がない」と思い込んで成長意欲を失い,努力することを放棄してしまうでしょう。
 よってここで伝えるべき言葉は,

「達成できなくて悔しい思いをしているね。その気持ちはわかるよ。でも,君にはまだ数字を上げる力がなかったんだ。では,数字を達成した同期は,君より何を努力したのかな? 悔しいなら,それに向かって本気でやってみようよ」

など,その失敗を糧にどうするのかを考えさせるように言葉をかけるべきなのです。

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